宮崎の中小企業 アメリカ輸出を目指し力を結集

円安傾向が続く今が輸出のチャンスとみて、宮崎県にある中小の複数の食品メーカーがタッグを組んでアメリカへの進出を進めています。力を結集することで生まれるメリットを生かそうという戦略です。

統一ブランドで食品を売り込み

アメリカ・シカゴで5月に開かれた食の展示会。会場には宮崎名物のチキン南蛮のたれや日向夏のポン酢などが並んでいました。

訪れたアメリカのバイヤーは「パンデミックで旅行が難しくなるなか(食を通じて)異文化を体験できる。可能性は大いにある」と関心を示していました。

出展したのは宮崎県内の5つの食品メーカーなどです。ポイントは各社がブランドを統一してアメリカへの輸出を目指すこと。これによって共同で営業できるほか、輸出用のコンテナの手配などの費用も分担できてリスクを抑えられるといいます。

宮崎の食品メーカーなどの統一ブランド

この取り組みは、国内の人口が減少するなか新たな販路を切り開こうと3年前に始まりました。企業の海外進出を後押しするジェトロや宮崎県も、現地の市場調査などに力を貸しています。

取り組みに参加する漬物メーカーの道本英之社長は「円安は食に限らず輸出にすごくチャンスがある。このチャンスを逃してはまずい」と話します。

また調味料メーカーの江夏啓人専務は「どこかが突破口を開けるようにみんなで力を合わせていきたい」と話しました。

輸出本格化へ工場新設した水産加工会社

取り組みに参加する水産加工会社で海外展開を担当している黒木将人さんは、「しらすのオイル漬けの缶詰」をアメリカ向けの主力商品にしたいと考えています。

シカゴでの展示会では、アンチョビのようにピザのトッピングやパスタの具材になると好評でした。

販売価格を国内より約2割高く設定しましたが、すでに7200個が売れました。

水産加工会社 海外展開担当 黒木将人さん
「何千キロ、何千個と、ちょっとこっち(日本)では考えられないような注文で、手応えは正直感じている」

さらにアメリカでは、日本では規格外とされ安く取り引きされている、成長しすぎた大きなしらすが好まれることも分かりました。この大きなしらすも活用できれば、さらなる売り上げアップにつながると期待しています。

成長しすぎたしらす(上)がアメリカで好まれている

アメリカへの輸出に必要な国際基準を満たした工場も新設し、秋ごろには本格的に輸出をスタートする計画です。

水産加工会社 黒木さん
「(アメリカは)すべてが大きい。市場としても魅力的だし今はアメリカを目指すべき。『すし』みたいに『しらす』という名前を日本名で通じるようにしたい」

複数の中小メーカーが協力して輸出を目指すこの取り組みは、宮崎の商社も参加し、今ではアメリカの15の店に売り場ができているそうです。今後も参加企業を増やしていきたいということです。
(宮崎局 アナウンサー 道上美璃)
【2022年9月6日放送】
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