2021年06月30日
コロナ禍に翻弄される先輩たちの就活を見てきた23年卒。自分たちもやっぱり大変な思いをするのか、気になります。
そもそも新型コロナの影響で思ったような大学生活が送れなかった分、ガクチカに書くことがない……そんな悩みも多いはず。どう対応したらよいのか、マイナビの高橋誠人編集長とOfferBoxの中野智哉代表に聞きました。
(聞き手:田嶋瑞貴 本間遥)
私たち23年卒は、大学1年の終わりからコロナで色々な影響を受けてきました。就活にもコロナの影響がありそうですか?
新型コロナの影響で採用がすごく厳しくなるんじゃないかと心配する声は、昨年から聞いています。
ですが、皆さんの1つ上の先輩の内定率も、おととし並みに回復してきていますので、現状ですと皆さんの就活はそれほど悲観する情報は多くないと思います。
オンラインによる就活にかなり移行しているという影響はあるものの、仕事の数が減ったというような影響はないですね。今3年生でしょ?
はい。
新卒採用だと、実際に働くのって2年後じゃないですか。
そうですね。
入社してから1、2年で仕事を学んで、そこから実際に会社の中で活躍していくという時間軸なので、みなさんは4年後あたりを見据えて就活するわけですよ。
あー。結構先ですね。
働くのは最短でも2年後ですし、さすがに2年後だと収まっているんじゃないかと。それを頭において企業のことを知っていくのがいいと思います。
「就活って何から手をつけたらいいの?」はこちらからご覧下さい。
コロナの影響で会社説明会が減ったりして、企業のことを知る機会が減っているということはありますか?
基本的に(コロナの影響で)知ろうと思えばたくさん知れる状況に変わったんですよ。なので結論を言うと(企業のことを知れるかどうかは)自分次第になったのかなと。
へー!
コロナ禍の前は、説明会に参加しないと情報を得られなかったのが、オンライン説明会でどんどん見られる、知れるという状況です。だから、会社の概要とか考え方を知る機会というのは増えていると思います。
ただ、実際にどんな雰囲気で社員が働いているのかというのは、リアルな空間に行かないと分からないと思うので、そこの機会自体は昔よりも減ってきていますね。
なるほど。高橋さんはいかがですか?
ネット上の情報がすごく増えているというのはあると思います。
マイナビでも、感染拡大に留意しつつ23年卒対象に対面での合同のインターンシップ説明会を開いたりWEBの説明会も実施したりしているので、情報量は年々増えています。
そうなんですか。
ただ、これから求められるのは、自分から主体的に情報を収集しに行く姿勢です。
情報自体は誰でもスマホで簡単に入手できる時代になっているので、もう一歩先を行くのであれば、その情報をきちっと理解・整理してそれを自分の価値観と合わせた上で、アウトプットできることを目指してほしいです。
今すぐじゃなくていいんですよ。数か月間準備するなかで、主体的に情報を収集することをしてほしいなと思います。
主体的ですか……。
今後は、どの業種・企業もそうだと思うんですけれども、待っていて仕事をするような職種・業務に関してはAIやロボットとかに、取って代わられることが予測されます。
確かに。
自分から問題を見つけたり、改善点を提案したりしていくような、主体性や課題発見力、行動力は、社会人基礎力として(これから仕事をしていく上での)鍵かなと思います。
主体的に行動するとお話されていましたけど、コロナで大学に行く機会が減っていて、周りがどういうふうに動いているか見えづらいです。就活では周りの動きも把握しながら動いたほうがいいですか?
あの……これは僕の意見なんですけど、皆さん周りを見過ぎ。
(笑)
見過ぎ…ですか??
就職活動っていうのはですね、就職する先は企業ですよ。だから企業の採用活動をしっかり見る必要があると思うんです。
見るところが違いますか?
周りを見たって就職できないんですよ。
はい、そうですね(苦笑)
企業がどういうスケジュールで動いているかとか、インターンシップをいつ、どこで実施しているのかとか、自分が興味を持った企業に対して競合他社はどうなのかとか、業界全体としてどういう人材を求めているかとか。
「見る所は横じゃなくて前じゃないですか?」と僕は思います。
おっしゃる通りです(笑)
ほぼ同意見ですけど、就職活動って、新たな場所に移って社会人になることを踏まえて、全員が一定の期間内で動くので、正直全員、“うっすら不安な状態”なんですね。
だから周りを見たい気持ちは分かるけど、周りを見たところで不安な要素がやや減るだけですよ。
自分が社会人になることに周りは全く関係がないので、やっぱり自分で越えていくことが大事だと思うんです。
内定をいただいて、そこに行くということは、他社への就職活動を止めるってことじゃないですか?
はい。
その決断をする時って、やっぱり自分との対話で決めるしかないんですよ。
だから最終的に周りを見ていても何にもならない(笑) 今、コロナで周りが見えにくい状況は、ある意味プラスになるところもあるかなと思います。
どういうことですか?
見えない方がいいっていうこともあるじゃないですか。
横断歩道が赤信号でもみんなが渡ると自分も渡っちゃうみたいな。いやいや、赤やんって(笑)
(笑)
あの行動って、周りに引きずられて動いちゃってるでしょ?
それが正しいか正しくないか判断せずに、赤だからやめた方がいいと思いながら、みんなが歩いていたら自分も動いちゃうっていう集団心理みたいなもので、そういうのは周りが見えなかったら絶対やらないんですね。
うーん。なるほど。
私たち、大学1年の終わりごろからコロナ禍だったので、ガクチカなどES(エントリーシート)に書くエピソードが少ないんですが、今からネタを探して間に合うんでしょうか?
もしくは高校時代のエピソードなども引っ張り出して使ってしまおうかと考えているんですが、古すぎますか?
全然、古いということはないです。OfferBoxのサービスでは、大学時代のエピソードとか高校時代、中学時代のエピソードって自分で選択できるんですよ。
データで見ると、大学時代のエピソードのところにオファーが集まって、高校時代のエピソードの人にオファーが集まらないということは全くないです。
ガクチカって、周囲と比べて派手な成果が注目されるという印象を持っている人も多いと思うんですけど。
実際は、「力を入れた事を教えてください」ということなので、そこから何を感じて、どう変わったかを聞きたいだけで、やった内容を聞きたいわけじゃないんですよ。
なるほど…。
みんなと違うエピソードだからいいっていうことは、あまりないんですね。なんかちょっとインパクトを残せるかなぁと思っていたんですが…。
「歩いて日本を縦断しました」とか、すごいな〜と思いますけど、だから採用とはならないですよね。
高校時代の話を書くと、大学生の時は何もやっていないのかと聞かれるのがちょっと怖いんですが大丈夫なんでしょうか?
大丈夫です(笑)高校の時に何か力を入れていた人が、大学になったら廃人のようになって何もやってないっていうのはありえないし、そう思わないですよね。
高橋さんの意見をおうかがいしてもよろしいですか?
今から短期間で作れるネタって、多分たいしたことないと思うんですよ。
ネタを探すというような考え方ではなくて、現時点の皆さんを構築した過去のエピソードを、中学であれ高校であれ、振り返るほうに時間を割いた方がよろしいのかなと思います。
これから急遽、自転車で日本一周したって、やっているうちに多分インターンシップが始まりますからね(笑)
(笑)
新型コロナウィルスの影響で、オンライン授業が多かったというのは企業も知っているので、大学入学後のエピソードしか評価しませんというのはあまり聞いたことがないです。
ただ、高校時代に取り組んだことを記載するときには、1つの方法として、そのことが現在の自分にどう影響しているのかをきちっと記述する必要があるのかなと思います。
もう一つ、大学時代のエピソードを書くとして、コロナ禍でできることってそんなにパターンがないので、他の就活生と似たようなエピソードにならないかも不安です。
要は文章力だと思います。
文章力ですか…?
平坦な文章を書くと、例えば「3年生の時に、サッカーの全国大会がんばりました」だけだと何も見えてこないですね。
確かにそうですね(笑)
なぜサッカーに興味を持ったのかとか、1日にどのくらい練習していたのかとか、どんなふうに練習を工夫していたのかというように文章を作っていきます。
そうするとめちゃくちゃがんばったんだなーっていうのが伝わるじゃないですか。結果として、全国大会にはいけずに、県大会4位でも、がんばったと思うんですよ。
文章力は、社会に出てもよく使いますよ。
あ〜。
報告書や企画書なども全部、基本文字で書くじゃないですか。いかに簡潔にわかりやすく伝えられる文章を作るかって結構大事で。
同じように“アルバイトがんばった”っていう学生は何万人もいると思うんですけれども、そこで差が出るのは文章力だと思うんです。
本当に文章力、大事なんですね。
文章力も一朝一夕では向上しません。じゃあどう上げるかというと、就活のための文章力じゃないんですよ、皆さん。
社会人としてのちゃんとした文章力を身に付けるためなので、まずは「きちっと文章を読む」ですね。
文章を読むっていうと、本ですか?
もちろんです。文章を読んでいない人がいきなり文章を書けるわけがないと思いますので。
読書は就活にも大事だったんですね。ありがとうございました。
次回は、就活とスポーツの両立へのお悩みに専門家が答えます。近日公開予定。
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