10月は多くの企業で内定式が開かれる時期でした。2021年春に卒業する学生にとっては就活も一区切りのはずですが、まだ複数の内定を持ったまま企業に辞退を伝えていないという学生もいるようです。(マイナビ2021年卒大学生活動実態調査(10月)より)

【新型コロナで 内定式はオンライン】

就職情報サイトのマイナビは21年卒の学生を対象に、10月1日時点の就活状況について調査しました。(実施期間:10月5日～11日　回答:5117人)

10月は例年多くの企業で内定式が開かれるため、内定式に参加したか尋ねています。内定式に「参加した」もしくは「参加予定」と答えた学生は合わせて75.4%いましたが、24.7%は「内定式は開催されなかった」ということです。内定を得たものの4人に1人は内定式には出席しないまま入社を迎えそうです。

参加したという学生の中でも、オンライン形式を取り入れた内定式だったという学生は合わせて62.1%で、対面で全員が集まったという学生は37.8%にとどまりました。新型コロナウイルスの影響で、内定式であっても企業の担当者や同期には実際に会えなかったという学生も多くいたことが分かります。

【結びつき つくるのは難しい?】

調査ではオンラインでの内定式に参加した学生に自由記述で感想を聞いています。「感染リスクを避けられた」とか「交通費の負担がない」など好意的な声がある一方で、「直接会って話せず残念」や「内定式という実感がなかった」と否定的な意見も見られました。

また、従来は内定式のあと開かれることが多かった懇親会の有無を聞いたところ「懇親会はなかった」と答えた学生が63.5%で、企業側と学生の結びつきを強くする機会をつくることが難しくなっていることが分かります。

来年春の入社時期までの間に、学生たちとの結びつきをいかに作っていくのか、企業側には例年とは違った対応が求められているのかもしれません。

【入社先絞りきれない学生も】

内定式もあり、10月は学生にとっては就活の一区切りとなる時期のはずですが、複数の内定を持ったままという学生も一定程度いるようです。

入社意思の低い企業に対しこれまでに内定辞退を伝えたかどうかを尋ねたところ、「一部の企業にのみ伝えた」が5.7%、「まだ伝えていない」が9.3%で、合わせて15%がまだ1社に絞り込んでいないことが分かります。

コロナ禍で経済情勢の先行きが見通せないこともあって、どの企業に就職するのが良いのか、迷っている学生も多いのかもしれません。

内定先を決めかねている学生たち、学生との接点を作ることに苦心する企業。調査を実施したマイナビの担当者の指摘です。