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川で水難事故にあわないための対策やポイント

川遊び中に、流されたり溺れたりして死亡する水難事故が相次いでいます。楽しい時間が悲しい時間に変わらないように、対策を取って遊びましょう。ポイントをまとめました。

各局の水難事故防止関連ニュースや解説などで紹介

目次

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    「ライフジャケット」は必ず着用

    川は海と違って「真水」なので、人の体はわずか2%しか浮きません。

    川のように流れがある場所では、溺れたり流されたりすると、水面に体を出して呼吸を確保するのは非常に難しくなります。

    ですから、川で遊ぶときは「ライフジャケット」を必ず着用して下さい。

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    ライフジャケットは、スポーツ用品店やアウトドアショップ、ホームセンターのほか、インターネットでも購入することができます。

    川での事故の分析や啓発活動を行っている河川財団の菅原一成主任研究員によると、ライフジャケットには、大きく分けて▽発砲プラスチックなどの浮力材が入っていてベストタイプの「固型式」と、▽落水した時に空気で膨らむ「膨張式」の2つがあります。

    「膨張式」はコンパクトで持ち運びやすく、腰に巻くタイプも販売されていますが、堤防での釣りなどで万が一、転落した場合などに使うことを想定しているそうです。

    ですから、川に入って遊ぶ場合は、「固型式」を選んで欲しいということです。

     

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    そして、頭を水から出して呼吸を確保するには、十分な「浮力」だということで、菅原さんによると、目安は、▽大人は5.85~11.7kg程度、▽子どもは4~5kg以上、ということです。

    ただ、ラフティングや渓流釣りなどで、流れが激しく空気を含んで白く泡立った「ホワイトウォーター」と呼ばれる場所に近づく時には、より浮力が大きいものを選んだ方が良いということです。

    浮力は、ライフジャケットの本体やタグに記載があります。

    インターネットで購入する場合は、ホームページの商品情報などで確認する必要があります。

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    また、川の場合、水の流れる勢いでライフジャケットが脱げないように、体に密着させることが特に重要だということです。

    チャックやベルト、紐などで体に密着できるものを選ぶ必要があるということです。

    試着できる場合は、実際にベルトなどをしっかり締め、肩の部分を上に引っ張ってもずれ動かないことを確認しておきましょう。

    子どもは体に凹凸が少なく、大人よりも脱げやすいため「股下ベルト」があるものを選ぶのが良いということでした。

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    最近は様々な種類のライフジャケットがあります。

    どれを購入するか迷った場合は、「RACマーク」や「CSマーク」がついた製品を選ぶと、性能が確認されていて安全だということでした。

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    特に「RACマーク」は動きやすさや脱げにくさが考慮された川遊びに特化したものにつけられるということです。

    一方、小型船舶では着用が義務付けられている桜マークのライフジャケットは、すべての製品が流れのある川での活動に適している訳ではないということで、脱げにくさなどを事前にしっかり確認して欲しいということです。

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    河川財団 菅原一成 主任研究員
    「ライフジャケットは数千円~1万円を超えるものまで幅がありますが、4000円~5000円くらいで信頼性の高い製品が購入できます。逆に、非常に安い製品の場合は、十分な性能があるか念入りに確認して下さい。初めて購入するときは、実際に店舗などで着用して確かめると安心です。使用回数が多かったり、長年使っていたりすると、浮力の低下や生地やバックルが劣化することがあるので、慎重に確認して下さい」

    流されたら「立たない」「戻らない」

    もし、自分が流されてしまった時は、無理に立とうとしないで下さい。

    立とうとして足をついた時に、川底の石などの間に足を挟まれてしまうと、水の流れる勢いに体を押されて、ライフジャケットを着ていても水中から顔を出せなくなる危険があります。

    また、元の場所に戻ろうとする体力を奪われます。

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    流された時には、足を下流に向けて、足先を水面まで持ち上げた姿勢を取ることが大事です。

    浮きながら徐々に流れが緩やかな岩場の陰などを目指します。

    パニックにならないように、一度、遊び場で姿勢を取る練習をしてみると良いです。

    飛び込んで助けないで

    助けに向かった人が溺れて死亡するケースも後を絶ちません。

    訓練を受けていない人が水中で溺れている人を救助するのはかなり難しいのが現実です。

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    溺れている人を見かけたら一人で対処せず、周囲に声をかけて助けを求めましょう。

    そして、まずは陸上からできることをしましょう。

    大きな声で「落ち着け!」とか「救助を呼んだよ!」などと短く声をかけ、落ち着かせて下さい。

    近くにクーラーボックスなど「浮力のあるもの」があれば投げて下さい。

    複数の大人がいる場合は、遊ぶエリアの最も下流にライフジャケットを着けた大人を配置して、子どもはそれより上流側で遊ばせるような工夫も大切です。


    大阪放送局 災害担当記者 藤島新也


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