Q.イスラエルの状況は? 

A.
新型コロナウイルスのワクチンの接種が進んでいるイスラエルからは、実社会でもワクチンの接種によって発症や重症化を防ぐだけでなく、高い感染予防効果を示すデータが報告されています。

イスラエルでは、ファイザーとモデルナの新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいて、イギリスのオックスフォード大学などのグループがまとめるウェブサイトによりますと、3月1日の時点で人口の55.1%にあたる、477万人が少なくとも1回の接種を受けたということです。

イスラエルの保健機関やアメリカのハーバード大学などの研究グループは、イスラエルでのファイザーのワクチンの効果を調べる研究を行い、2月24日にアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文を発表しました。

研究グループは、2020年12月20日から2021年2月1日までの間に
▼ワクチンの接種を受けたおよそ60万人と、
▼接種を受けていないおよそ60万人について、
年齢や性別、居住地や直近5年間のインフルエンザワクチンの接種回数、妊娠しているかどうか、それに持病の有無などの条件が合う人を1人1人探し出してワクチンの効果を比較しました。

その結果、2回目の投与を受けてから7日目以降では
▼発症を予防する効果が94%、
▼重症化を防ぐ効果が92%だったほか、
▼無症状の人も含めて感染を防ぐ効果も92%だったということです。

また、イスラエルでは分析の対象となった期間にイギリスで広がった変異ウイルスが流行していたことから、この変異ウイルスに対する効果があることが示唆されるとしています。ワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は「驚くべきデータが出てきたと受け止めている。ただ、接種からの期間がある程度限定されたデータで、中長期的な効果はまだ分かっていない。対策はワクチンだけで十分とは考えずに、マスクを着用する、3密を避ける、手洗いをするといった対策をともに進めてほしい」と話しています。

(2021年3月15日時点)