暗い気持ちになっている人のため、あすへの活力となる光を見いだしたい
今永昇太
2019年、プロ野球セ・リーグで2番目に多い13勝をあげたDeNAの今永昇太。プレミア12では先発投手陣の一角に入り、日本の優勝にも貢献した。
今永は本拠地・横浜スタジアムで決勝が行われる予定だった東京オリンピック出場に強い意欲を示していたが、新型コロナウイルスの影響で大会は1年の延期が決定。さらにプロ野球のシーズン開幕も再三、延期となっている。
感染予防対策のため報道陣は現場での取材ができない。今永はオンラインで情報発信しているが、彼が提供する話題はひと味違う。
「カオマンガイを作った。横浜スタジアムに出品したほうがいい」
「自分で髪の毛を切った。評価できる仕上がり」
取材陣を和ます回答。これには『未知の領域』に入っている今、プロ野球選手としてできることを考慮した結果だという。
「僕たちは何をできるのか家でふと考えるが、『無力だなぁ』と。
不安は抱えているが、前を向き続けていくという発信しかできない。
同じように暗い気持ちになっている人のため、あすへの活力となる光を見いだしたい」
個人練習の期間が長引き練習量は確実に落ちている。
だからこそ、何を最優先したらいいのかをこれまでより考えながら調整を続けている。
「ストレッチや体幹は家でもできるので、球場では広い面積がないとできないランニングを優先してやっている。当たり前のことだが、プロ野球選手として練習前にしっかりプランニングすることの大事さを確認できた」
加えてモチベーションを保つため、シーズン開幕を6月後半と想定し、5月5日からはブルペンでキャッチャーを座らせた投球練習を再開している。
「ことしは例年とは違うプロ野球のシーズンになる。
ふだん野球を見ない人も見る機会が増えるかもしれない。
そんな中で野球の魅力を伝えられるプレーを見せたい」
苦境を成長の時と捉える今永。開幕投手の最有力候補の26歳の左腕がマウンドでどんな投球を見せるのか。今はその時を待ちたい。
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