コツコツと一つ一つ上がってきた。だからこそ試合で自信を持って勝負できる

伊東純也

サッカー

2021年9月から始まったワールドカップアジア最終予選。
最初の3試合で2敗を喫した日本を救ったのが伊東純也だった。
第5戦から日本代表史上最多に並ぶ4試合連続ゴールをマーク。チームの6連勝に大きく貢献し、逆転での本大会出場をもたらす立て役者となった。

「ゴールはこんなに取れると思っていなかった。結果がついてきていていいなと思う」

伊東がゴール以上に手応えを感じたと言うのが第2戦の中国戦と第8戦のサウジアラビア戦でマークした2つのアシストだ。いずれもスピードを生かして相手を振り切って右サイドからクロスボールを送り、味方の得点につなげた。

「スペースがあったら勝負したいというのはいつも思っている。シンプルに縦に突破してクロスを上げて、ゴールにつなげるプレーは自分らしいなと思う」

「自分らしい」と自信を持つサイド突破は、今、日本代表の最大の武器になっている。しかし、学生時代を振り返ると、決して輝かしい表舞台を歩んできたわけではない。高校時代は神奈川県大会でベスト32止まり、自分でも「無名」の存在だったと認める。

神奈川大学を経てプロ入りし、24歳で初めて日本代表入りしたが、学生時代は世代別の代表にも選ばれた経験はなかった。

「今の活躍は想像もできなかった」

そうした状況でも中学生のころから自主練習で地道に続けたのが1対1のトレーニングだという。相手と対峙しながらどうすれば相手を抜けるのか、サイドの選手としての感覚を研ぎ澄まし、「自分らしさ」を磨いた。

「自分の場合はコツコツと一つ一つ上がってきたと言う感じですね。1対1はやっていないと仕掛ける感覚が鈍るので今でもやっている。だからこそ試合で自信を持って勝負することができる」

遅咲きのアタッカーは29歳で初めて、憧れの舞台を迎えようとしている。
そこでの活躍はすでにイメージできている。

「ワールドカップはサッカーを知らない人も見てくれると思うので、そういう舞台で結果を残したい。俺ほど(学生時代)無名で、ここまで来た選手ってあまりいないと思う。自分が活躍することで今、埋もれている子たちの希望になれたらいい」

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