やると決めたからには後悔のない準備をしたい

上野由岐子

ソフトボール

ソフトボール日本代表が金メダルを獲得した2008年の北京オリンピック。その歓喜の輪の中心にいたエース上野由岐子は2021年7月、39歳になる。3月23日に行われた日本代表に内定したメンバーの会見でこう話した。

「正直もう一度、オリンピックの舞台に立つと思っていなかったというのが正直な気持ちです。月日がたっているので、あの時みたいなピッチングはできない。でもやると決めたからには、しっかりと後悔のない準備をしたいと思っていますし、今出せる自分のパフォーマンスでオリンピックを迎えたい」

年齢を重ね体力の衰えもあるだろうが、3大会ぶりに復活した東京オリンピックでも上野が絶対的な存在であることは変わりない。自国開催となる3回目の大舞台。ソフトボールは、2021年で10年となった東日本大震災の被災地 福島が試合会場になっていて、日本代表は最初の2試合を戦う。

「何のためにオリンピックが福島で行われるかということを、しっかり心にとめて、自分たちがどういうパフォーマンスをして、何を伝えられるのか。試合の白黒だけでなく、いろいろなものを福島に伝えられるかという、すごく大事な使命を受けている」

東京オリンピック開催に賛否があるのは、上野自身よくわかっている。それでも、勝ち負けだけではないスポーツの力を信じている。

「ただただオリンピックをやってよかったなと、全国民にそう思ってもらえるような試合にしたい。やっぱりスポーツの力というものを見てくれるたくさんの人たちに伝えたい」

マウンドに立つその日まで。上野は静かな闘志を燃やし続ける。

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