自分に対して良いあきらめをしたとき、いちばん美しい結果がえられる

小松原尊

フィギュアスケート

フィギュアスケート、アイスダンスの選手でアメリカ出身のティム・コレトは、2020年11月に日本国籍を取得した。
「小松原尊(たける)」。
初めてそうコールされた12月の全日本選手権で、妻でありカップルを組む美里と3連覇を果たした。

名前の由来は「日本武尊(やまとたけるのみこと)」。美里の母の提案で、日本への尊敬の念を込めた。 尊はこれまで韓国やノルウェーの選手とカップルを組んできたが、同じ国籍が必要となるオリンピック出場のチャンスは巡ってこなかった。転機は2016年、美里とのカップル結成だった。その翌年に結婚。念願の国籍変更も果たし、オリンピックへの道が開けた。

「小さいころからの夢であり、いまは美里とオリンピックを目指すことが自分にとって一番大事。ずっと待っていたニュースで、とても光栄でうれしかった。もっと練習しないといけないとすぐに思った」

日本語の質問に対しては、日本語で伝えようと努める。日本のパートナーを得て、その文化にも積極的に溶け込んできた尊だからこそ、語ったことばがある。

「昔は何かをかなえるにあたって、十分に努力をすれば、すべてコントロールできると思っていた。ただ大人になるにつれて気づいたのは、自分に対して良いあきらめをしたときに、いちばん美しい結果がえられるということ。自分が大切にする人にその身を任せること、目を閉じてジャンプをすること、リスクなしでえられることはない。怖く見えるが、そこから学ぶことが、いちばん大きい」

いまでは美里の出身地である岡山のきびだんごが好物。美里の両親とともに後楽園で花見をしたことは大切な思い出だ。新型コロナウイルスの影響は続くが、尊は美里とともに日本代表として初のオリンピック出場を目指す。

「大変な時期が続くけど、みんなと一緒にこの波を乗り越えたい。オリンピックに出場して、日本の皆さんに誇りに思ってもらえるような演技ができるよう頑張りたい」

フィギュアスケート