圧倒的に強い自分でいたいと常に思っている

羽生結弦

フィギュアスケート

2019年、羽生結弦の取材で、彼はたびたび幼い頃の自分に思いをはせた。

「昔から、器用に自分の中で納得できるというところまでぱっとできる人間ではなかった。
何回も何回も積み重ねて、磨き続けて、何とかここまでやってきている。
究極に磨ききれた羽生結弦っていうのを、自分では想像はできるけれど、体現はできていない。
なかなか羽生結弦になれないなと思いながら過ごしている」

オリンピック連覇を達成しながらも、高いモチベーションを維持して自分と向き合い続けている羽生。その根本にあるものは、何なのだろうか。

「結局、勝ちたいのだと思う。(2018-19年シーズンの)いちばん大きな試合である世界選手権で負けてしまって、そこそこ自分も出し切れたと思う状態でフリーでも勝てなかった。
その悔しさが今、自分のモチベーションになっている。
その悔しさを、なんとか晴らしたい。圧倒的に強い自分でいたいと常に思っている」

羽生に対する周囲からの大きな期待やプレッシャー。それがあるからこそ、“苦しさ”に向き合うことができると言う。

「つらくて、逃げたいとか、こぼしかける時もある。
本当につらい、これ以上の努力はできないと思うくらいまで追い込むので、できなかったときにやっぱり苦しくなる。それでも、その苦しみを越えてでも、ノーミスしたいと思ってしまう。
その原動力が周囲の期待なんだと思う」
「期待に応えなければ、という責任感みたいなものも、ものすごく強いし、なんとか応えたいと強く思ってしまう。だからこそ、つぶされそうになることも多々ある。
結局、試合ではやるっきゃないって思ってやってるけれど…。
苦しくなるということはプレッシャーだと思う。ただ、そのプレッシャーがあるから、それに応えたいとすごく思えるのだと思う」

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