トラックGメンに密着! 物流の担い手を守れ

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トラックドライバーの時間外労働の規制が2024年4月から強化されました。物流業界の環境改善に向け、切り札の一つと位置づけられているのが「トラックGメン」です

トラックGメンは国土交通省の職員で、全国に160人余りいます。運送会社のドライバーの適正な働き方を確保するのがミッションです

発注側の荷主が運送会社に対し運賃などで無理な要求をしていないかなどをチェックして、問題があれば是正指導を行います。今回、中国地方で活動しているGメンに密着しました。

長時間の荷待ちはないか 荷主に働きかけも

トラックGメンが6月、広島市内の物流倉庫周辺に向かいました。路上にはトラックが列をなしていました。

Gメンたちはドライバーに声をかけ、荷物の積み降ろしの順番を待たされる「荷待ち」ではないかと聞き取りをしていました。

「困りごと、ありませんか」と書かれたチラシを配る
チラシには「トラックGメン」の紹介も

トラックGメン
長時間の荷待ちとか問題になったりしとるので、お困りごととかありますかね?

トラック運転手
前は『行ってみてどうなるか』、もう何時間待ちという順番待ち。今はだいぶ改善されとる

Gメンはドライバーなどから集めた情報をもとに悪質だと判断した場合、荷主などに長時間の荷待ちをさせないよう働きかけます。

トラックGメン 国土交通省中国運輸局 赤木雄大さん
よくあるのは受付時間も何もなくて、本当に順番どおり、荷主側の荷さばきが終わり次第呼ばれるようなかたち。それで何時間も待たされるという情報が比較的多いと思う

トラックGメンの赤木雄大さん

労働時間の制度が変わってとまどっている会社も多いかもしれませんが、現場に浸透させるには、こうした地道な活動が欠かせないようです。

運賃への価格転嫁は適正か

Gメンが目を光らせるのは長時間労働だけではありません。広島県廿日市市の運送会社は一部の荷主が運賃交渉に応じてくれないことに頭を悩ませ、2023年からGメンに相談しています。

運送会社の経費は上がり続けています。この会社は、ドライバーの労働時間を短くするため高速道路の利用を増やしたほか、ドライバーをつなぎとめるため賃金の引き上げも必要になっています。しかし運賃への価格転嫁を一部の荷主側に求めても、受け入れないといいます。

運送会社の社長
(荷主に)『何とか協力してください』と言うのができればと思うけど、なかなかそこまで分かってもらえない。いまだに分かってもらえない

相談する運送会社の社長(左)

会社どうしのやりとりで改善が見られなければ、Gメンが直接乗り出すことも視野に入れています。

トラックGメン 赤木さん
トラック業界全体がよい方向になるのがわれわれの使命だと思っている。荷主とトラック事業者をつなぐ、よりよい関係に至れるような懸け橋になれればいいんじゃないか

政府はトラックGメンの機能をさらに強化していくとしていて、改善につながるか注目されます。
(広島局 藤浪しのぶ)
【2024年7月2日放送】