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地方の深刻な人手不足を解決しようと、山形県で「やまがた未来くる(みらくる)人材活用事業」というユニークな取り組みが始まりました。どんな取り組みなのか、そしてどんな成功例が生まれているのでしょうか。
副業人材マッチング 仲介手数料を県が全額負担
山形県のこの事業は、県内の企業と、高度なスキルを持ち副業で働く県外の人材をマッチングする取り組みです。
特徴は、企業が仲介業者に依頼して副業を希望する人材を紹介してもらう際、仲介業者に支払う手数料を県が全額負担するというものです。取り組みを通じて2023年度は52人がマッチングされています。
魅力的な求人サイトを…リモート副業人材が活躍
山形県東根市の部品製造会社は、機械の制御に欠かせない制御盤を造り業績も安定していますが、人材難が課題でした。
そこで、初めてネットで求人を行うことにしましたが、魅力的なホームページを作ることができる社員がいませんでした。
部品製造会社 植松 茂 社長
「ネットで(社員)募集というのは全くスキルもなくて、ましてやセンスもないものですから」
この会社は山形県の支援制度を活用することにしました。そして、ホームページ制作のスキルを持つ県外の人材の紹介を受け、リモートでやり取りしながらサイトをリニューアルしました。
新しいサイトは、トップページに社長の思いを打ち出しました。
社員のインタビューも掲載するなど、会社の魅力が伝わる内容に生まれ変わりました。
リニューアルから3か月たち、求人への応募もあったといいます。
副業人材のスキルで地方の交流施設運営
この山形県の支援制度を利用して、副業人材に山形まで足を運んでもらい、事業の運営に深く関与してもらったケースもあります。
建具や家具などを製造販売する会社は、山形県南陽市にある使われなくなった酒蔵をカフェや作業スペースなどに改装し、観光客や地元の人などが集まる交流施設にすることを目指していました。しかし、ノウハウがなかったといいます。
建具や家具などを製造販売する会社 髙橋眞己 社長
「(施設など)造るものに関しては、われわれはベテランだが、お客様を迎えるにあたってのノウハウは全然持ち合わせていなかった」
そこにやってきたのが、東京の大手航空会社で働く清水佑亮さんです。本業では航空チケットの販売戦略を考えるマーケティングを担当しています。培ったスキルを生かし、地域貢献したいと副業に応募しました。
副業に応募した大手航空会社の社員 清水佑亮さん
「やりがいのあるお手伝いができればというのが、いちばんの根本の思い」
交流施設にどのように客を呼び込むか。清水さんは、作業スペースの利用料を最大でも990円に抑えることを提案しました。1000円を超えないことで購買意欲を刺激するというマーケティングの考え方を生かしたのです。
オープン初日、清水さんのねらいどおり多くの客が訪れました。清水さんは今後、外国人観光客の集客に向けて協力していく予定です。
髙橋社長
「都会の感覚というか、ぜひ新しい考え方をわれわれもこの南陽市に取り入れたい」
副業に応募した清水さん
「いろんな人に来てもらえる街に、市になれば、一定程度貢献できたのかなと思えるので、そういったことを目指したい」
山形県のこの副業人材マッチング支援事業は2024年度も継続しているということです。
リモートを活用した副業を促進し、地域に貢献したいという副業人材の思いに応える取り組みで、地方の人手不足の課題の解決につながっていくか、注目されます。
(山形局 岡野祐己)
【2024年6月14日放送】