スキル持つ人材を”スポット”で

さまざまな業界で人手不足が深刻になっています。とりわけ難しいのが、特定の技術を持つ人材の確保です。そうした人材を、仲介会社を通じて、必要な時だけ「スポット」で活用しようとする動きが広がっています。

スポットで働く料理人 居酒屋の即戦力に

東京・世田谷区にある居酒屋は以前、料理人の数が足りず人気メニューを提供できなくなったことがありました。

そこでこの店は、「スポット」で来てくれる料理人を頼りました。現在は週に2回、料理人の島田雅祥さんがやって来ます。魚をさばくなど居酒屋で必要とされる技術があり、今や欠かせない存在だといいます。

 
魚をさばく技術を持つ人材は居酒屋に欠かせないという

仲介の仕組みは?

この居酒屋が利用するサービスの仕組みはどうなっているのでしょうか。料理人の不足に悩む飲食店は、仲介会社を通じて、スポットで働きたい料理人を募ります。

飲食店が希望日を決めて求人を出し、応募した料理人の中から選定します。例えば、希望日の前日に「3時間だけ」という求人を出しても、スケジュールが合う料理人がいれば対応してもらうことができます。

サービスを利用した居酒屋では、即戦力の料理人を確保できるめどが立ち、以前に比べてはるかにシフトが組みやすくなったといいます。

サービスを導入した居酒屋を経営する企業「ジャックポットプランニング」 片岡茂雄さん
「経験ももちろんだが技術的に持っている方が来ると、当日来た時に、もう任せられる状況なので、すごく助かる」

サービスに登録している料理人 島田雅祥さん
「自分の都合に合わせた働き方ができ、やりがいがある」

資格取得を支援する動きも

スポットで働く人々に活躍の場を広げてもらおうと、社会でニーズが高いスキルの習得を仲介会社などがサポートする動きも出てきています。埼玉県伊奈町では、仲介会社などが主催してフォークリフトの講習会が開かれました。

フォークリフトを運転する資格が得られれば、講習の費用は仲介会社などが負担します。

参加者の一人は「フォークリフトの仕事の募集が頻繁にあるのをアプリで見たので」と話しました。また別の参加者は次のように話しました。

物流業界では2024年、トラックドライバーの時間外労働への規制が強化されます。荷降ろしや積み込みをスムーズに行うためには、フォークリフトを扱える人材が欠かせません。

仲介会社は、スポットで働く人々に必要とされる技能を身につけてもらえば、人材のマッチングにもつながると見ています。

講習会を実施した仲介会社「タイミー」 川村愛基さん
「資格取得のチャンスを働く方々に届けることで、より多くの企業に活用いただける」

サービスが広がり、トラブルも

こうしたサービスは、会社や店舗にすれば必要な時に即戦力の人材が来てくれるのは心強いし、働く側にとっても“すきま時間”を有効に使うメリットがあります。

ただ、サービスの広がりとともに「求人内容と実際の労働が違う」といったトラブルも起きているということです。仲介会社でつくる団体は、自主的なルールの策定を検討しているということです。
【2023年7月26日放送】
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