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デジタル人材の育成は、人口減少に直面する地域を活性化させるうえでも必要とされています。長野県佐久市では、市と地元企業とが協力して、子育て世代や非正規雇用の人などをデジタル人材として育成しようという取り組みが始まっています。
給料得ながらスキルを学ぶ
長野県佐久市に事業所があるIT企業で、デジタルスキルを実地で学ぶプログラムが行われていました。参加者はウェブコンテンツを制作しています。
別の参加者は「結婚を機に移住してきて、違うスキルを取得できるいい機会」といいます。
この取り組みは2023年秋に始まりました。市が子育て世代や非正規雇用でスキルアップを目指す人を募り、このIT企業に派遣します。
参加者はこの企業で給料をもらいながら実務経験を積むことで、ホームページの制作や企業データの管理などができるようになります。
そして半年後には、このIT企業を含む地元企業で働いたり、業務を請け負ったりします。そこで数年かけて高度な技術を習得し、地域を支えるデジタル人材になることを目指します。
市のプログラムに協力しているIT企業 井上拓磨 社長
「実務の提供を通して地域全体で(人材を)育てる仕組みをつくっていけたら」
参加者「正社員目指す」
このプログラムに参加した田中紗耶香さんは、2023年に会社を辞めて幼い娘とともに地元の佐久市にUターンしました。地元でアパレル販売のアルバイトを始めましたが、休日出勤もあることから仕事と子育ての両立に悩み、転職を考えていたといいます。
デジタル人材育成のプログラムに参加した田中紗耶香さん
「未経験で何か仕事を探すというのはすごく大変で、未経験からできるOJT型(働きながら学ぶ)の研修を行うというのを見て、ぜひ受けてみたいと思った」
田中さんは現在、IT企業でパートタイマーとして働いています。会社の人事担当者との面談で、今後のキャリアについて希望を伝えました。
田中さん
「だんだんいろんなツールなどを使えるようになった。スキルや経験値などを積んだあと、最終的には正社員を目指していきたい」
人材育成で地域のデジタル化を
佐久市もデジタル人材のスキルアップの機会をつくっています。補助金の受付や申請などデジタル化した業務を、プログラムの受講者に委託しています。
受講者が安定的な収入を得ながら、いずれは市全体のデジタル化を支える人材になってくれることを期待しています。
佐久市 柳田清二 市長
「(デジタル人材の)みなさんが登場することによってDX(=デジタルトランスフォーメーション)が進む、便利な社会になっていく。働きやすい環境を社会・企業・行政でつくっていく必要が大いにある」
研修をしたら終わりではなく、その後も行政や企業がサポートする仕組み。デジタル人材を育てたくても人がいないと嘆く地方もあるかもしれませんが、やり方次第で地域に眠っている人材を生かすことができるということのようです。
(長野局 池田昌平)
【2024年5月2日放送】