髪色やネイル“自由化”で働きがいアップ!アルバイト応募も2倍に

働く人の多様性を尊重しようという機運が高まる中、制服や髪型などを巡るルールを見直す動きが広がっています。その背景には何があるのでしょうか?

髪・ネイルを自由化 老舗スーパーがつけた“条件”とは

東海地方を中心に展開し、地域密着で50年続く老舗スーパーマーケットは2022年11月、店員の髪の色やネイルのルールを大きく緩和しました。これまでは店員の髪は黒か自然な栗色、ネイルは透明か薄いピンクのみと厳しく決められていました。

客の多くは中高年が占めているため、ルールの緩和には懸念の声もあったといいますが、若い世代から「自分の個性を生かしながら働きたい」という要望が強くありました。
こうした要望に応える職場にしたいと、ある条件をつけることで髪やネイルの自由化に踏み切りました。それは「店で一番元気な挨拶と好印象な接客をする」ことです。

ユニー 人財育成サポート部 身だしなみ担当 澤頭麻衣さん
「いい接客態度を常に心がけていかなければいけないという気持ちをずっと持ち続けられれば、身だしなみが自由でも問題ないのではと」

愛知県一宮市の店舗で5年前から働く早田麻里子さんは、金髪にしたことで人目につくからこそ一段と丁寧な接客をしようと心がけています。

早田麻里子さん
「より目元をニコッとして接客したり、柔らかく会話をしたりとか」

笑顔でより丁寧な接客を心がけるという早田さん
買い物客からは好印象。金髪は「おしゃれ」との声も

身だしなみ担当 澤頭さん
「お客様にとってもよいと思われ、従業員にとってもよいと思われる、その間を模索している」

身だしなみ自由化で“働きたい職場”に

身だしなみを自由にしたことが新たな人材の確保につながるケースも出てきています。

名古屋市にあるテーマパーク「レゴランド」はかつて、安全に対する配慮から身だしなみに厳しい基準を設けていました。指輪は結婚指輪のみ、ピアス・イヤリングをつけていいのは女性だけで、大きさは直径5ミリ以内でした。

かつての身だしなみルール

身だしなみ改定プロジェクトチームリーダー 櫻井大喜さん
「子どもや家族のテーマパークであるので、安全や衛生の部分は第一に守っていかなければいけない」

このテーマパークは、客の安全と自由な身だしなみをどう両立させるかを数か月かけて検討し、「すべて従業員の判断に一任する」と大きくかじを切りました。

髪の色を明るくしたり…
ピアスをしたり

ルールの変更から1年。アルバイトの応募数はかつての2倍以上になり過去最多を更新しました。

身だしなみ改定プロジェクトチームリーダー 櫻井さん
「(客に)すごくすてきなアプローチができる方であっても、『髪色がだめだから働けないね』と、こちらも泣く泣く勤務を断らなければいけない部分があったが、今はたくさん集まってきてくれているという印象を受ける」

どちらの企業も安全や衛生面に影響はないか十分に検討したうえで、こうした判断をしたということです。

労働社会学が専門の千葉商科大学の常見陽平准教授は、次のように分析しています。

千葉商科大学 常見陽平准教授
「自由を与えられることで、自発的に行動する力を従業員が身につける。それが企業の業績アップにつながると考えられているのでは」

こうした動きが今後さらに広がっていくか注目されます。
(名古屋局 菊地桃加)
【2023年6月16日放送】
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