能登半島地震 被災地の仕事を守る「郵送の修理サービス」

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能登半島地震が発生して5月1日で4か月たちました。被災地では「仕事がないため地域に戻れない」といった声が聞かれます。

石川県能登町の干場健太朗さんの鍛冶店は地震で被害を受けましたが、10日後に事業を再開しました。再開のカギとなったサービスとは?

地震後 2人を新たに雇用

石川県能登町の商店街では、多くの店が営業を再開できずにいます。その中で干場健太朗さんの鍛冶店は、地域の衰退を防ごうと地震後にいち早く事業を再開し、職を失った地元の人2人を雇い始めました。

働き始めた1人は次のように話しました。

鍛冶店 干場健太朗 社長
もともとここ(能登)で生活していたのに仕事を理由に遠く離れてしまうというのは、あまり思わしくないことなので、とにかく仕事をつくって、そこに地元の人に入ってきてもらう。そういう受け皿になるのが大事だと思っている

干場健太朗 社長

売り上げ回復につながった「郵送の修理サービス」

干場さんの店は明治から続き、干場さんは4代目の社長です。しかし地震で機械が壊れ、さらに農具や漁具を修理する地元住民からの注文も止まってしまいました。

それでも雇用に踏み切れたのは、人口が減るなかで少しでも県外から注文を受けようと続けてきた、郵送の包丁修理サービスがあったからでした。

このサービスは、会社のサイトやホームセンターなどで専用の箱を販売します。利用者は修理する包丁をその箱に入れてそのまま郵送。届いた包丁を鍛冶店で研いで修理する仕組みです。

修理してほしい包丁が専用の箱で郵送で届く
中には復興への応援メッセージがついたものも

地震のあと、このサービスの注文が増えたこともあり、店の売り上げは5割にまで回復しています。

干場社長
お客様とひとりひとりつながっていられるこういうサービスは、本当につくってよかったと思っている

ノウハウをほかの事業者へ

干場さんは、この郵送の修理サービスをほかの事業者にも広げようとしています。

声をかけたのは、木工工房を営む杉本豊さんと、漆器店の店主の田谷昂大さんです。2人とも地震で被害を受け、店舗営業ができずにいます。干場さんは2人に会うために石川県輪島市を訪ねました。

杉本さん(左)と田谷さん(右)に郵送の修理サービスについて説明する干場さん

干場さんは郵送用の箱やサービスの仕組みなどについて2人に説明し、漆器店を営む田谷さんは「どんどんやっていけばいいかなと思う」と話していました。

全国から寄せられる支援の声。その声に商品を通じて応えていきたいと考えています。

干場社長
いろんな能登の会社が束になって復興をしっかり考えて行動していくことが、いちばん復興が早まる。この動きをできるだけ加速しながら能登の復興に少しでも寄与できればと思う

みんなで知恵を出し合って仕事を守っていこうという取り組み。こうした動きが被災地の復興につながっていけばと思います。
(金沢局 美濃里亜)
【2024年5月1日放送】