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「バイオマス」とは生物から生まれた資源のことで、森林の間伐材や家畜の排せつ物、そして生ごみも含まれます。
北欧のスウェーデンでは1月、生ごみを分別する法律がつくられました。生ごみを燃料に使って脱炭素を目指しています。
ストックホルムを走る“バイオガスバス”
ストックホルム市内を走るバスの約15%は、家庭などで集められた生ごみからできるバイオガスを燃料にしています。
生ごみ分別を義務付け
生ごみの分別を義務づける法律ができたことで、国民の環境意識は一段と高まったといいます。
ストックホルム市内に住むオスカル・グルンストロムさんは、燃やすごみと生ごみの分別に取り組んでいます。
オスカル・グルンストロムさん
「こうすれば(生ごみを分別すれば)単にごみとして燃やされるのではなく、バイオガスとして活用できるので環境によい取り組みだと思う」
ごみは、燃えるごみ、生ごみ、プラスチックと分別された専用のボックスに捨てます。
工場でメタンガスと肥料に
回収された生ごみからどのようにバイオガスをつくっているのか。ストックホルム郊外にある工場では、生ごみの分別を義務づける法律ができたことで、持ち込まれる生ごみの量が20%ほど増加しました(2024年1月―3月、前年比)。
回収された生ごみは、不純物を取り除き、この工場では70度ほどで加熱し、殺菌したうえで発酵させます。2週間ほどで生ごみからメタンガスと肥料を取り出すことができます。
取り出されたガスはバイオガスとして出荷されます。肥料は農家などに運ばれて、野菜などを育てる際の肥料として活用されます。
工場を運営する企業「BIOKRAFT」 シャーン・コラーンさん
「バイオガスには未来がある。いろんな用途で使われている。ほかの使い方も見つかるかもしれない」
将来は100%をエネルギーに?
スウェーデンは日本と同じように、石油や天然ガスなど化石燃料の資源に乏しい国です。
政府は将来、生ごみを100%エネルギーとして循環させたいとしています。
スウェーデン自然保護庁 エリカ・ニーグレンさん
「スウェーデンの最大の課題は、いまだに大量の廃棄物を出していることだと思う。私たちは循環型社会の実現を目指している。すべての資源をうまく使って気候への影響を抑えたい」
日本では?
この取り組みを日本でも進めることはできるでしょうか。技術的には可能で、日本政府もバイオマスエネルギーの利用を推進しています。しかし国内には小規模な設備が多く、大きな設備の建設にはコストがかかることなど、超えなければならないハードルがあるようです。
(国際部 髙須絵梨)
【2024年4月18日放送】