トートバッグがコンポストに 生ごみの“都市型循環”

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家庭から1年間に出る生ごみの量は約760万トン。生ごみを捨てずに堆肥に変える「コンポスト」をトートバッグ型にすることで、都市部の消費者にも手軽に循環型社会をつくる取り組みに加わってもらおうというビジネスが生まれています。

生ごみがトートバッグの中で変身

東京都内に暮らす福島友香里さんは、料理で出た生ごみの処理にトートバッグを使っています。水切りをした生ごみをバッグに入れ、中身をかき回して2~3週間すると堆肥が出来上がります。

バッグの中には「堆肥のもと」が入っていて、バッグ1つで20キロ、4人家族なら約2か月分の生ごみを手軽に処理できます。

福島さんは「全然におわない。においがあったとしても土のいい香り」と言います。 

出来上がった堆肥は、都内に暮らすほかのバッグの利用者と一緒に近隣の農家に無償で提供しています。

バッグの値段は堆肥のもととセットで2980円。その後は定期的に堆肥のもとを1袋1680円で購入する仕組みです(いずれも税抜き)。現在、全国に約3万人の利用者がいます。

「おしゃれ、便利、都市部でも」

バッグを販売しているのは、福岡市で3年前に創業したベンチャー企業「ローカルフードサイクリング」です。社長のたいら由以子さんは、生ごみを堆肥にリサイクルする方法を20年以上研究し、多くの人が気軽に取り組めるようにとバッグを作りました。

たいら由以子社長
「おしゃれで、便利で、都市部でもできるところに徹底的にこだわって開発した」

開発にあたっては、繊維メーカーに頼んで生地の素材や厚さを何種類も試し、生ごみの分解に必要な適度な通気性保水性を持たせました。

需要はヨーロッパ都市部にも

たいらさんの会社では2022年2月にフランスの会社と業務提携を結び、販路を海外にも拡大しています。

このバッグを売るパリのセレクトショップで店長を務めるデイビッド・レミーさん
は、ヨーロッパの都市部でも環境意識の高い人向けに需要があると見ています。

レミーさんは「日本やパリでの生活に共通しているのは部屋と台所が狭いこと。だからこのバッグは完璧だと思う」と話します。

堆肥と野菜が循環する仕組みを

たいらさんはバッグの利用者から集めた堆肥を農家に届け、その堆肥で作った野菜を利用者に戻すという循環も広げていきたいと考えています。

たいら社長
「生ごみの焼却をゼロにしていく。そのことによっておいしい野菜につながる。その仕組みをどんどん作っていきたい」

環境対策に貢献したいという消費者の気持ちを、手軽さと便利さで後押しするこの取り組み。循環型社会の実現には、無理なく続けられる工夫が必要になってくると感じます。
(国際放送局 ディレクター 服部真子)
【2022年4月13日放送】