自治体×企業 めざせ“ゴミゼロ”

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持続可能な社会の実現に向け、ゴミの減量は身近な課題の一つです。いま、ゴミの収集と処分を担う自治体が企業と手を組み、使い捨てを減らそうという動きが広がっています。

「粗大ゴミ」をリユース IT企業の発信力を活用

年間8800トンを超える粗大ゴミを処理している東京・世田谷区。処分が追いつかず、住民が回収を申し込んでも1か月以上待たせることも珍しくありません。

少しでもゴミを減らそうと、不用品などの情報サイトを運営するIT企業「ジモティー」と手を組み、その“発信力”を活用することにしました。

2022年3月末まで行われる実証実験では、住民が無料で粗大ゴミを持ち込めるスポットを設置。まだ使えるものを選んだうえで値段をつけてアプリに掲載し、引き取り手を探します。

不用品を持ち込んだ人は「粗大ゴミだと破棄しちゃうけど、ここだと使ってもらえる人がいたらこちらもうれしい」と話します。

アプリで欲しいものを見つけた人は誰でも、この場所で引き取ることができます。例えば4つで800円のダンベルは掲載から2日後に買い手がやってきました。引き取りに来た人は「(アプリで)見つけて、安かったので来た」といいます。

オープンから1か月。家電からおもちゃまで2600点が持ち込まれ、その9割が引き取られていきました

情報サイトを運営するIT企業 片山翔取締役

「自治体が持っている住民からの不用品と、われわれのリユース先を見つけるメディア力を組み合わせることがポイント」

世田谷区清掃・リサイクル部  泉哲郎  事業課長

「ゴミそのものの減量のほかに、リユースの促進ということで新たな取り組みの一つになっていく」

ただ、実証実験では持ち運びが難しい大きな家具などは扱っていません。区としては今後どうするか考えていきたいとしています。

ペットボトルをすべて新品に メーカーとタッグ

一方、東京・稲城市がゴミ減量のために始めたのは、ペットボトルの新たなリサイクルです。

これまで、回収したペットボトルはリサイクル業者に処理を任せていました。1割程度はペットボトルに再生されていましたが、そのほかは食品トレイや衣類などにリサイクルされ、最終的にはゴミになり焼却されてきました。

新たな試みでは、回収したペットボトルを新品に再生させる技術を持つ飲料メーカー「サントリー食品インターナショナル」と協力し、すべてをペットボトルとしてリサイクルしようとしています。

このメーカーは2030年までに、販売するすべてのペットボトルをリサイクル製品などにする目標を掲げています。自治体から使用済みのペットボトルを安定的に調達できれば、目標達成につながると考えています。

飲料メーカー  佐藤慶一  課長代理

「ペットボトルリサイクルの技術が格段に進歩してきている。リサイクルしやすい状況を生み出すところが(企業の)一つの大きな責任」

稲城市都市環境整備部  吉田一博  係長

「自治体、事業者、そして市民の方が三位一体となって取り組むことで、大きく事業(リサイクル)が進むことが期待される」

(国際放送局 ディレクター 戸村桂子)

【2022年1月19日放送】