循環型社会をつくるために必要なリサイクルの現場も、人手不足やコスト高に悩まされています。最新のロボットで作業を効率化したり、新しいビジネスモデルに取り組んだり、課題を解決しようとする動きが企業で始まっています。
瓶やペットボトルゴミ AIロボットが選別
自動販売機から出るペットボトルなどのリサイクルを行っている埼玉県深谷市の工場です。
同じ飲み物のゴミでもアルミやスチール缶、ペットボトルなど、形や材質はさまざまです。瓶は色ごとに分別しなければなりません。
しかし現場は慢性的な人手不足に悩まされてきました。そこで、この工場で導入したのが、AIを搭載した選別ロボットです。
先端に吸盤がついたアームが、狙いを定めて次々と拾い上げます。カメラとセンサーで得た情報から、AIが材質や色合いなどを瞬時に解析しているのです。
中には、飲み残しが入っているペットボトルもありますが…。
違う色が混ざるとリサイクルできなくなる瓶も色ごとに分別します。
これまで人の判断に頼っていた部分が大幅に減って、作業効率が上がったといいます。
飲料用容器リサイクル会社 武笠行男 代表
「(これまでは作業する人が)25人~30人いたのが、今は5人で、あとはほとんど機械で全部やる。それによって社員の定着率が上がった」
AI搭載選別ロボット開発会社 水澤貴彦 技術部長
「瓶・ペットボトルは常に新しいものが販売される。(AIが)追加学習を常に繰り返しながら(現場で)使ってもらえる装置になれば」
廃棄ダンボール 圧縮して付加価値を
資源を回収しやすくすることでリサイクルの効率を高めようという取り組みもあります。
愛知県春日井市にある物流センター。大量の段ボールが集まってきますが、バラバラに積み上げただけの状態で業者に回収してもらっても、ほとんどお金にならないといいます。
そこで、企業に対し廃棄物の活用方法をアドバイスしている岐阜県羽島市のコンサルタント会社が、段ボールを圧縮する特殊な機械を設置しました。
運搬しやすく、そのままリサイクルできる形にすることで、1キログラム10円以上で引き取ってもらえるようになりました。この利益は、コンサル会社と物流センターで分け合います。
コンサルタント会社の佐久間裕之社長は「加工して付加価値をつけることで製紙会社に直接納入できる。付加価値が高まる」と説明しました。
リサイクルの効率化につながり、さらに収益になるということで、導入を検討する企業も増えているといいます。
廃棄物処理専門コンサルタント会社 佐久間裕之 社長
「廃棄物を減らす、資源物を増やしていく、そういったところはトレンドになってくると思う」
資源価格が高騰するなかで、資源を繰り返し使うことの重要性は増しています。それぞれの立場でリサイクルの取り組みを進めることが大切だと思います。
【2024年2月13日放送】
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