オフィスの廃プラを製品化 再びオフィスへ

オフィスビルなどから排出される廃プラスチックは「オフィスプラ」と呼ばれ、東京23区で年間約3万トン(推計)に上ります。いま大手ディベロッパーなどが、企業の垣根を越えてオフィスプラのリサイクルを進めようと動き出しています。

オフィスの廃プラ 脱・焼却、脱・埋め立て目指す

オフィスから出る廃プラスチックのリサイクルを進める実証事業が4月から、東京都とリサイクル会社「エム・エム・プラスチック」が主体となって始まりました。

オフィスから回収された廃プラスチックは、こん包に使う業務用のものや菓子の袋など、さまざまです。東京・千代田区で働く女性は「お弁当の中にプラスチックが入っていたりすると、これは(分別として)どっちに捨てたらいいんだろう」と話します。

オフィスプラは、家庭から出るプラスチックごみと違い産業廃棄物として扱われます。そのため焼却や埋め立て処分されて、二酸化炭素(CO2)を排出するなどの問題が指摘されています

実証事業は、こうしたオフィスプラを製品化して、廃プラスチックを減らす循環をつくろうとしています。

今回の実証事業には「三菱地所(丸の内ビルディング)」「東急不動産(渋谷ソラスタ)」「三井不動産(日本橋室町三井タワー)」の大手ディベロッパー3社が参加し、会社の垣根を越えて協力することになりました。

三菱地所 運営事業部 管理企画ユニット 持田隼さん
「CO2排出量を抑えた形の処分方法を探求して、検証して、実装まで持っていくところは、企業の責任として明確にある」

リサイクルの工程は?

集められたオフィスプラは、実証事業を行っているリサイクル会社の千葉県富津市の工場に持ち込まれます。

工場に持ち込まれた大量の「オフィスプラ」
プラスチックの材質に合わせて3種類に選別され、それぞれ原料に加工
オフィスプラからできたペレット

リサイクル会社 富津プラスチック資源化工場 石井良征 工場長
「これがオフィスプラからできたペレット。いろいろな製品に生まれ変わっていく」

床材・文房具・家具などに製品化検討

このペレットを使った製品の開発も進んでいます。取材した日は、床材に使うための議論が行われていました。建築・土木資材の製造などを行う会社「エア・ウォーター・エコロッカ」 の渡邊和哉社長は「オフィスプラ特有の色を生かした製品を一つのバリエーションとするのも手だ」などと意見を出していました。

今後は、文房具や、オフィス家具などの製品化も検討しています。

リサイクル会社 森村努 社長
「(リサイクルは)排出元や、われわれのようにリサイクルする会社、あとプラスチックの原料を作ってそれを活用していただく方、それぞれの役割分担で循環系が成り立つので、新たな取り組みが実現するかなと期待している」

プラスチック製品のマークの意味は?

プラスチック容器や包装には、リサイクルができることを示すマークがついているものがあります。

消費者も、菓子の袋など燃えるごみに入れがちなプラスチック製品について、マークをよく確認し、資源として再利用していくように気をつける必要がありそうです。
(経済番組 岩永奈々恵)
【2023年7月7日放送】
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