みかんの収穫量がここ数年、全国的に伸び悩んでいます。雨が少ない渇水が理由の1つです。
生産が盛んな愛媛県では、水の管理に「ICT(情報通信技術)」を使って安定した収穫を目指す取り組みが始まっています。
少雨などで収量減 経験に頼る水管理難しく
みかんの収穫が盛んな愛媛県八幡浜市真穴地区。今シーズンの出荷量は7021トンと、不作だった前の年(7306トン)よりもさらに300トン近く少ない出荷量にとどまっています。
みかん農家 治京与三郎さん
「本当に雨が少なかった。玉が太らず、小さいまま。味はいいが、収量が少ない園地もある」
収穫が伸び悩んだ原因の1つは、雨が少なく、強い乾燥にさらされたためだといいます。甘いみかんを作るためには一定の乾燥が必要ですが、乾燥しすぎるとみかんが育ちません。
農家はこれまで長年の経験を頼りに水やりを行ってきました。雨が少ないシーズンは水の管理が難しくなるといいます。
治京さん
「あまり水をかけすぎると味に影響する。大体この木は何分ぐらい、こんな感じの木は何分ぐらい」
センサー導入 土壌水分24時間測定
そこで頼ることにしたのが、情報通信を活用した栽培技術です。みかん畑に設置されたセンサーが土の中に含まれる水分の量を24時間測定します。
測定されたデータはインターネット経由でスマートフォンなどに送信されます。アプリと連携して水分量を細かく確認することができて、最適なタイミングで水をまくことができるそうです。
このシステムは東京の通信会社が開発しました。
システムを開発した通信会社 齋藤 透さん
「これまで真穴地区の生産者の場合は土壌水分の値が重要だと考えられていたが、そこでわれわれの通信技術が生かせる。生産量とか品質の向上に寄与できると思っている」
測定結果に「驚き」
取材した日、計測した2か月間の土壌の水分データが農家に報告されました。
その結果、同じエリアのみかん畑でも水分量にばらつきがあることが分かってきました。中には土壌の水分が5%~10%と乾燥しすぎているとみられる畑もありました。
一方、過剰に水を与えているケースがあることも分かりました。生育の度合いが変わり、収穫時期や品質に影響が出るおそれもあります。
「安定生産につながるのでは」
農家は経験だけでなく、より客観的なデータをもとにした栽培に期待しています。
治京さん
「安定生産につながっていくのではないか。毎年、いい、おいしいみかんを提供できる、かつ量もある。それができる可能性はある」
今シーズンは糖度が高い甘いみかんができたということですが、収穫量が少ないと収入に影響してしまいます。
真穴地区では来シーズンに向けて、情報通信を活用した栽培技術の本格的な実用化を目指すということです。
(八幡浜支局 有坂太信)
【2024年2月7日放送】
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