タクシーやレンタカーといった車と、その利用者を結びつける「マッチング」の技術を使って、料金を引き下げる取り組みが進んでいます。渡部圭司キャスターが体験しました。
目的地が同じ客で「乗り合い」 タクシー料金を割安に
マッチングの技術を導入したタクシー。渡部キャスターが、NHKがある東京・渋谷から羽田空港に向かいます。
タクシーが走り始めて20分余り。あるご夫婦が乗ってきました。このタクシーは「乗り合いタクシー」です。複数の客を、いつ、どこで乗せるのかを決めるためにマッチングの技術が使われています。
まずそれぞれの客がスマホのアプリで、乗りたい場所や到着希望時刻などを入力します。
それらの情報をAIが分析。同じ目的地に向かう客をいつ、どの順番でピックアップするかを割り出し、最適なルートを作成します。
同乗したご夫婦は、羽田空港への往復には、いつもこのタクシーを利用しているといいます。ほかの人とのシェアは「あまり気にならない」といい、「予約もあらかじめできるから、予定が立ちやすいから楽ちん」と話します。
取材した時、渋谷から羽田空港までかかった料金は3980円(税込み)。通常のタクシーよりかなり安くなっていると感じます。
また、ほかのお客さんをピックアップする分は回り道になるものの、AIが、住む方面が同じ客や走行ルートを決めるため、さほど時間が長くかかったとは感じませんでした。
マッチング技術を導入するタクシー会社 富田和孝 社長
「若い方たちで、タクシーには(高いので)乗れないけれど相乗りだったら乗れるというお客様もいると思う。お客様のすそ野を広げていく」
マッチング技術を開発した東京都内のスタートアップ企業 髙原幸一郎 社長
「1人1台タクシーに乗っていくというのは費用の負担も高いし、なかなかみんなができることではない。シェアすることで(費用の負担を)解決しようと思っている」
レンタカーをバトンリレーのようにつなぐ 乗り捨て料金をゼロに
レンタカーでも、マッチングで移動料金を引き下げようという動きが見られます。
東京都内の駐車場にとめてある「なにわナンバー」のレンタカーは、大阪から来て東京で乗り捨てられた車です。
一般的にレンタカーはいずれ元の場所に戻さなければならず、運搬費用がかかります。そのため通常は「乗り捨て料金」を上乗せして支払わなければなりません。
その乗り捨て料金をマッチングによってゼロにするシステムを考えたのが、東京都内の別のスターアップ企業です。
利用者は、例えば大阪から東京といった大都市間の片道を決めて予約・利用します。レンタカーが目的地に到着すると、今度は東京から大阪に向かう利用者とマッチングします。こうすることで乗り捨て料金をゼロにできるというわけです。
乗り捨て料金ゼロの仕組みをつくったスタートアップ企業 小野崎悠介CEO
「常に車がまるでバトンリレーのように次の人に車を渡していく。そういう循環型のサービスとしてやっていきたい」
4月からは一般のドライバーが自家用車で有料で人を運ぶ「ライドシェア」が、タクシー会社が運行管理することを条件に一部で導入される見通しです。デジタル技術をうまく使って人手不足を乗り切ることが期待されます。
【2024年1月15日放送】
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