企業が生態系保全 その戦略は?

    森や池などの保全が、企業経営に直結する時代です。

    10月、環境省はさまざまな生物が暮らす全国の森や池など122か所を、生物多様性に貢献している「自然共生サイト」に認定その半分以上は民間企業からの申請を受けて認定したものでした。

    大手建設会社は広大な緑地を整備して飛来する野鳥の生態を研究し、都心の再開発に生かしています。大手IT関連企業も「ネイチャーポジティブ経営」に取り組んでいます。そこにはどんなねらいがあるのでしょうか。

    建設会社が野鳥などの生息環境を研究 再開発の現場で活用

    千葉県印西市にある大手建設会社の技術研究所。約1ヘクタールの広大な緑地が整備され、「自然共生サイト」に認定されました。

    この場所はもともと更地でしたが、4年前から地域の草花や木を植えこみ、どんな野鳥がどういった環境に飛来するのか研究を行っています。

    緑地には、生き物の気配を感じた時にシャッターがおりるセンサーカメラも設置されています。この技術研究所の三輪隆さんによると「この地域では珍しいヤマガラとか、フクロウがとらえられている」といいます。

    緑地内に設置されているセンサーカメラ
    珍しいヤマガラの姿がとらえられた

    大手建設会社の技術研究所 三輪隆さん
    「さまざまな環境タイプを用意することで、訪れる鳥の種類も増える。私たちの技術力を高める研究の場所になっている」

    研究の成果は、東京都心の再開発の現場で役立てられています。千代田区にある高層ビルでは、1600平方メートルの緑地に90種類の植物を配置しました。

    見た目を重視して背の高い木を並べるだけでなく、低い木や下草も混在させて野鳥などが生息しやすい環境をつくりました。

    中には、枯れた木もあります。技術研究所の三輪さんによると「枯れ枝を意図して残している。キツツキの仲間がここに穴を開けて営巣することが期待できる」からです。

    あえて残している枯れた木

    三輪さん
    「みずからの所有する土地で、特に生物多様性にかかる機能、それを重視する傾向が今、世界中で広がりつつある。本当に大きなチャンスとして、私たちの(生態系保全の)ソリューション(課題解決)に生かしていきたい」

    IT関連企業が生態系保全のレポート公表 企業価値向上を図る

    生態系の保全に取り組むことで、消費者や投資家からの評価を高めようとしている企業もあります。

    大手IT関連企業の千葉県我孫子市にある事業所では、約4ヘクタールの緑地を保全して外来種の駆除にも力を入れています。ただ、この場所での知見が会社の主力事業に直接生かされるわけではありません。

    この企業は2023年、国内のIT関連企業として初めて、自然環境との関わりを分析したレポートを公表しました。

    公表した自然環境との関わりの分析レポート
    レポートの中で「ネイチャーポジティブ経営」を掲げている

    企業活動が生物多様性にも貢献する「ネイチャーポジティブ経営」を掲げ、この緑地の保全活動を象徴的な取り組みと位置づけています。

    世界各地で水や食料の不足、災害リスクの増大などが懸念される中、持続可能な企業だと広く認識してもらい、社会の課題解決につながる事業を展開していこうと考えているのです。

    大手IT関連企業 環境・品質統括部 金成かほるさん
    「企業が自然資本や生物多様性に対してどういう行動をとっているのか、明らかな形で評価してもらえるようになるし、企業価値を高めることの一つにつながる」

    生態系の保全に取り組まなければ、国際的に事業を展開できない。そうした大きな変革期を迎えている中で企業の取り組みが加速しそうです。
    (千葉局 荻原芽生)
    【2023年12月15日放送】
    あわせて読みたい