学校の部活動は最近、人口減少の影響などで、指導者の人手不足や活動資金の不足が課題になってきています。そこで、部活動のサポートを通じてビジネスにつなげようと、大手通信会社が動き始めています。
顧問の先生が多忙 無料アプリで上達図る
大阪府貝塚市の市立第五中学校の男子バスケットボール部。顧問の溝口貴昭先生は多くの仕事を抱えていて、生徒の指導になかなか時間をかけにくいといいます。
男子バスケットボール部の顧問 溝口貴昭教諭
「3年生の担任と進路指導をしているので、クラブ(部活動)に割く時間はすごく少なくなってしまう」
そこで、生徒が自分たちだけでもうまくなれるようにと活用しているのが、無料で使えるアプリです。
大学生などのお手本動画を参考に自分の動作を撮影し、比較して改善点を探っていきます。
このアプリには、AIで体の動きを細かく解析する機能もついています。骨格の位置を点と線で表示し、お手本との違いが一目瞭然になるようにしています。
生徒の一人は「足の曲げ伸ばしもできていないところがあったから、気づけるのがものすごくいいところだなと思う」と話します。
このサービスを手がけているのは、大手通信会社のソフトバンクです。プロ野球の球団を保有していることから、スポーツ人口を増やすことが将来的な利益につながると考えています。
大手通信会社 サービス企画本部 阿部飛雄馬さん
「アマチュアスポーツをしっかり支援していくことが、プロスポーツの発展にもつながって、そこに関わるサービスの発展につながる」
部活動の資金不足 クラウドファンディングで補う
部活動の資金不足の解決につなげようというサービスもあります。静岡県熱海市の県立熱海高校のヨット部は、インターハイ優勝の実績を持ち、伝統を誇っています。しかしここ数年、学校の生徒数が大幅に減少したことで、部活動にかけられる予算が不足しています。
ヨット部の顧問 新村武久教諭
「破けてしまったりすると、生徒たちがつぎはぎしながら何回も何回も使っている」
そこで活用したのが、部活動と応援したい人をつなぐサービスです。クラウドファンディング機能を使って支援金を募ったところ、約30万円の寄付を得ることができました。集まったお金は、ことしのインターハイ出場の際に遠征費の一部に充てられたということです。
お金とともに「がんばれ」、「応援しています!」、「少しですが支援させてください!」といった応援のことばも寄せられました。
生徒の一人は「応援されているという実感が湧くので、誇りを持って練習がしっかりできる」と話します。
ヨット部の顧問 新村教諭
「こういったサービスを含めて支援を確保しながら部を守っていきたい」
サービスを手がける大手通信会社のKDDIは、部活動とファンをつなぐことでスポーツビジネスの潜在的な需要を掘り起こせると考えています。
大手通信会社 マーケティング企画部 長井栄子さん
「学生スポーツの配信事業にも取り組んでいるので、配信サービスの利用者が増えていくことで事業的な拡大を期待している」
通信会社が部活動を支援するねらいは?
通信会社にとってスポーツ中継の配信はキラーコンテンツになっています。部活動はスポーツに接する入り口になるので、支援することで、すそ野を広げていくねらいがあります。こうしたサービスがどのように受け入れられ、部活動に貢献していけるか、注目されます。
【2023年10月25日放送】
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