寺に地域の人を呼び込みたい

コロナで寺に行く機会が以前より減ったという人もいるのではないでしょうか。檀家とやりとりするアプリや、車で地域の人を迎えに行く無料サービスなど、地域との新たなつながりを育もうと寺が動き始めています。

寺と檀家 アプリでつながる

寺と利用者のつながりを深めようと考案されたアプリ。寺の行事への参加や住職への相談などを簡単な操作で行うことができます。

命日を登録する機能もあり、法要についての相談など、寺からの知らせを受け取ることもできます。

最近このアプリを利用し始めたという親子は「便利です。(寺の行事を)よく忘れるので(アプリを)開いたら分かる。何日というのが」と話します。

徳島県松茂町の観音寺の住職、中村一善さんは3月、このアプリを導入しました。檀家とやりとりするにはこれまで手紙を書いていましたが、アプリを使うことで、関係性が大きく変わったと感じています。

住職の中村一善さん(中央)

観音寺 住職 中村一善さん
「リアルタイム性というのは、すごく大きかった。随時何かの更新があると気になって(アプリを)見るから、そういうのは非常によかった」

このアプリを開発した会社は、寺と地域の新しい関係につながるのではないかと考えています。

内藤葉月さん

アプリを開発した会社 コンテンツプロデューサー 内藤葉月さん
「(かつては)家族だったり地域のネットワークはお寺を中心につくられていたものが今は全然違う。(アプリで)違った形で関係性を紡いでいくことができるんじゃないか」

交流の場へ “お寺タクシー”で出迎え

また東京・江戸川区の證大寺は、みずからが“お寺タクシー”で出向くことで、地域の人を寺に連れて来ようと動き出しました。

僧侶が運転して迎えに行ったのは…
地域の夫婦。“お寺タクシー”で寺に到着

取材した日に迎えにいったのは、コロナ禍の影響もあり、ほとんど外出しなくなっていたという夫婦です。2人にとって寺に行くのは、今貴重な外出の機会になっているといいます。

寺では認知症予防などの講座を受けることができて、僧侶に悩みを聞いてもらうこともできます。寺が地域の大切な交流の場にもなっているのです。

利用者の女性の一人は「話し合いができるとか、何かを聞くとか、人と接触できる。楽しみにしている」と話しました。

證大寺 住職 井上城治さん
「お寺が葬儀とか法要のためだけの場所じゃなくて、よりよく生きるために使える場所として使ってもらいたい。“お寺タクシー”をしていくことで、みんなもっと来てくれれば」

住職の井上城治さん

寺の数は全国に約7万7000あると言われ、コンビニエンスストアよりも多いとされています。一方で、住職がいないいわゆる「空き寺」や、後継者がいない寺も多いということで、どう存続させていくかが課題となっています。
【2023年10月23日放送】
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