「人生100年時代」ともいわれますが、健康寿命をどう延ばすのかが課題となっています。こうしたなか、脳の健康をサポートしようという最新技術の開発が進んでいます。
あなたの脳は何歳くらい? 「表情」から推定
モニターに向かって、喜んだり、怒ったり、驚いたりと、さまざまな表情をつくる「おはBiz」の渡部圭司キャスター。これは、顔の表情から脳の健康状態を推定してくれる計測器で、大手電機メーカーの「パナソニックホールディングス」が8月に開発しました。
利用者がモニターに現れた表情をまねると、表情がどのくらい一致しているのかや、表情を何秒間維持できるかなどを解析し、1分ほどで結果を出してくれます。
この電機メーカーはこれまでも、表情から感情や感覚などを可視化し、分析する技術を開発してきました。
メーカーは「認知症患者の表情が乏しくなる傾向がある」と言われていることに注目し、2年前から、「表情を作る力」と「脳の健康状態」の相関関係について研究を重ねてきました。
そのなかで、表情から脳の健康状態を推定する独自のアルゴリズムを開発したといいます。
大手電機メーカー プロダクト解析センター 阿部圭子さん
「体重計とか血圧計みたいな感じで日々測ってもらって、認知症予防だったり、ウェルビーイング(健康)というところに貢献できたらと思っている」
「音」で脳を健康に? 研究続く
「音」に着目した技術も開発されています。
認知症予防に取り組んでいる東京都内のクリニックが導入したのは、ある特殊なスピーカーです。大手製薬会社の「塩野義製薬」と大学発のベンチャー企業「ピクシーダストテクノロジーズ」が高齢者向けに共同で開発したスピーカーです。
注目したのは、物を覚えたり集中したりするときに出る脳の「ガンマ波」です。
アメリカなどの研究では、認知機能が低下しているとき、ガンマ波が弱くなっているという報告があります。そこで、ガンマ波を刺激する40ヘルツ変調音を日常の音に取り込める製品を開発しました。
体験したひとりは「違和感ないですね」と話します。
東京都内のクリニック 新井平伊院長
「少しでも皆さんに(脳の健康に)可能性のあるものを試してもらう」
このスピーカーは高齢者施設などにも導入されていて、今後、認知機能への効果などについて実証実験を続けていくといいます。
大手製薬会社 ヘルスケア戦略本部 柳川達也さん
「日常生活の中で、何か頑張らなくても健康によい刺激を与えられて、それがわれわれの目指す世界かなと思っている」
今もスピーカーの安全性や聞きやすさなどの研究が続いているということで、こうした脳の健康をサポートする技術開発が今後進みそうです。
【2023年10月16日放送】
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