空港テロやドローン攻撃 最新技術で防ぐ

アメリカの同時多発テロから11日で22年になりました。世界でテロの脅威がなくならない中、国内の安全を守るため、ロボットなどを使って最新の対策が行われています。

成田空港の警備ロボットの実力は?

成田空港を巡回するロボット

国際線の利用者(2023年上半期)が1000万人以上に回復した成田空港。大手警備会社の「セコム」が開発した最新のロボットが、テロ行為などを早期に発見するため空港の施設内を巡回しています。

このロボットは複数のカメラを搭載していて、AI=人工知能を活用して映像を分析する機能を備えています。

例えば、一定時間、放置された荷物を検知した場合、ロボットが「荷物が置き忘れられています。持ち主の方はいらっしゃいますか」と周囲に呼びかけます。

放置された荷物を検知

そして離れた場所にいる警備員が映像を見て荷物の状況を確認し、持ち主が現れない場合はかけつけて、火薬などの粉じんがついた危険物ではないかを確かめます。

警備員が映像を確認し…
危険物でないかどうかを確かめる

いざという時には、煙を吹きつけて相手の視界を妨げる機能もついています。

大手警備会社 企画部 長谷川精也さん
「ロボットと人の警備をうまく組み合わせて、全体としてセキュリティーのレベルを上げていくことができる」

このロボットは今後、人が集まる野外のスポーツイベントなど、活用する場を広げていきたいということです。

ドローン攻撃に備え 妨害装置開発

空からの脅威に対応する装置もあります。大手電機メーカー「三菱電機」が開発したのはドローンによるテロを防ぐ装置です。

2015年4月には、総理大臣官邸にドローンが落下したことがありました。国内で、ドローンを使った攻撃の危険性が認知されました。

 

そこで一部の官公庁で、ドローンによるテロを防ぐ装置の導入が進んでいます。この装置はドローンと操作器の間の通信を探知し、ドローンをコントロールする信号に対して妨害波を出します

正体不明のドローンを探知した場合は、警備員が目視で確認したうえで妨害波を発信します。妨害波を受けたドローンは制御を失って緊急着陸する仕組みです。

装置はアンテナを向けた方向の約3キロの範囲をカバーできて、複数台のドローンを妨害できるといいます。

装置を操作するには無線免許の資格や総務省に相談することが必要です。開発した電機メーカーは、今後は民間企業でも需要が増えていくと考えています。

開発した電機メーカー 電子通信システム製作所 山本宏樹さん
「(ドローンは)誰でも安価に買えるようになってきている。そういった課題に対して対処可能であるのではないか」

こうした最新の技術を活用することで、警備員の人手不足問題の解消にもつながるかもしれません。
【2023年9月11日放送】
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