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過疎や高齢化が進み耕作放棄地が増えている山間部では、土地を有効活用してイノシシなどによる農作物の被害を防ごうと、牛の放牧が盛んに行われています。そこにICT=情報通信技術を導入する「スマート放牧」と呼ばれる手法が今、各地で広がっています。
人間の負担も牛のストレスも減る? スマホで牛を管理
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佐賀県鹿島市の山間部。かつてみかん畑が広がっていた土地で牛が放牧されています。山に音楽が響き渡ると、牛たちが水を飲む時間だと気づいてやってきました。
地元名産の放牧牛は上質な赤身の肉が人気で、この牧場では現在8頭が飼育されています。
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この牛たちを飼育している畜産農家はふだん牧場におらず、約1キロ離れた「道の駅 鹿島」にいます。道の駅を運営する会社「七浦」の増田好人社長が、鹿児島大学が開発したスマート放牧のシステムで牛を管理しているのです。
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増田さんは、牛たちが水飲み場に来た時にAIを搭載した機器で状態をチェックします。増田さんのスマートフォンには、体重や食べた餌の量などの詳細なデータが送られてきます。牧場に行かない日は牛の世話が1~2時間ほどで済むといいます。
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牛を管理している増田好人さん
「旅行に行って、ホテルから朝カメラを見ながら(旅行先の)京都から3日間これ(カメラを見る)だけ。そこにいなくても牛の管理ができる」
スマート放牧のシステムを開発した 北海道大学 後藤貴文 教授(開発時は鹿児島大学教授)
「スマート放牧は牛と人の接触を減らし、牛のストレスが軽減されて肉質がよくなる」
最新機器が続々登場
こうしたスマート放牧の技術の活用は、全国各地の山間部で広がっています。山口県では耕作放棄地での牛の放牧を30年以上前から盛んに行っていて、「山口型放牧」として知られています。5月、放牧に役立つ最新機器の実演会が開かれました。
例えば、牧場を囲む電気柵の監視装置は、雑草などが柵に触れて電圧が下がるとLINEなどで管理者に通知され、牛の逃走を防ぐことができます。
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また無線で操縦する草刈り機の実演が行われ、40度の急斜面で利用できることや人手不足に悩む地域でも効率的に放牧に適した土地をつくれることなどが説明されました。
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参加した畜産農家は「少しでも省力化をしないと、なかなか生き残れないと思っている」と話していました。
農研機構西日本農業研究センター 平野清 上級研究員
「中山間地で人が少ない中で、より効率的に農地・放牧地・牛を管理するためにうまく使っていただければ」
スマート放牧は初期投資にコストがかかるのが課題ですが、牛が自然の草を食べることで飼料価格が高騰する中でランニングコストが抑えられるという強みがあるということです。
【2023年9月1日放送】
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