電気代高騰 省エネ最新技術で負担軽減!?

電気料金の値上がりが続いています。負担を抑えようと、新たな素材を使った省エネ技術の開発が進んでいます。

新素材のシートで「放射冷却現象」

気温が上がる午後1時半すぎ。大阪市此花区で、ある実験が行われていました。並んでいるのは、ふつうのテントと放射冷却素材を使ったテントです。

取材した日、この時間帯の気温は28度で、ふつうのテント内は32度近くまで上がっていました。しかし新素材を使ったテント内は26度と、5度以上温度が下がっていました。

新素材のテント内の温度(右)は外気温より低かった

温度を低くする秘けつは、大手ガス会社「大阪ガス」が開発したシートにあります。注目したのは、大気圏外に地表の熱が放出されて気温が下がる「放射冷却現象」です。

開発したシートは特殊な樹脂で作られていて、熱を入りにくくする一方、放出させやすい特徴があります。そのためシート内の温度を外気より下げられるというのです。

このシートはすでに自動車工場で使われていて、熱を受けやすい天井部分で15度以上温度が下がったという結果もあります。

工場で新素材のシートが使われている

また今後は、日傘やパラソルといった身近な製品への応用も考えたいということです。

シートの販売などを行う会社「SPACECOOL」 末光真大CTO
「われわれの素材はゼロエネルギーで電力を使わずに冷やす。それが最大の特徴。この素材を用いて世界中の熱課題を解決していきたい」


透明な太陽光発電パネル 用途の広がりに期待

太陽光を利用した発電の新素材の開発も進んでいます。東京・港区にあるJRの高輪ゲートウェイ駅で5月から始まったのが、透明な太陽光発電パネルによる発電の実験です。発電した電気でディスプレーの表示を行っています。

東日本旅客鉄道 天内義也マネージャー
「このぐらいの透明度があると、建物のガラスとしても十分使うことができる」

このパネルは大手エネルギー会社「ENEOSホールディングス」が、開発企業に出資して開発を後押ししています。

「赤外線のライトをあてると発電が始まる」

発電するのは、2枚のガラスの間に塗られた約1マイクロメートル(=1000分の1ミリ)という薄さの膜です。膜は赤外線と紫外線を吸収して発電できる特殊な有機物質でできています。しかも、ほぼ透明です。

従来の太陽光パネルに比べ発電量は10分の1ほどですが、設置するための広い土地が必要ないことから将来性が期待されています。

大手エネルギー会社 古田智史 主幹
「ビル全体の電力自給率が高まったり、電車の窓や車、ガラスを使っているところであればどこでも使えるので、われわれが想像もつかないような用途が待っているのではないか」

このパネルの実用化に向けては、どう大型化していくかが課題だということです。
【2023年8月15日放送、初回放送5月29日】
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