放置された竹林が各地で問題になっています。宮崎県では放置竹林を無料で伐採し、畜産に生かす取り組みが進んでいます。
竹から作られたエサ 豚肉がおいしく変化
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宮崎県都城市のブランド豚専門店ではメンチカツが一番人気で、多い日には1000個以上売れると言います。中には「2日に1回は必ず寄る」という買い物客もいます。
原料の豚肉に重要な役割を果たしているのが、竹です。ブランド豚を育てている養豚場では、竹から作られたエサを混ぜて豚に与えています。
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まず竹を細かく砕きます。乳酸菌を混ぜ込み、密閉して40日間放置すると、発酵が進んで竹が柔らかくなります。
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これをエサに混ぜて豚に与えたところ変化が見られたといいます。まず、養豚農家を悩ませている豚舎のにおいが軽減されたといいます。
そして、肉質自体もくせのない味に仕上がるようになりました。
エサ代のコスト削減も
さらに、予想もしなかった変化もありました。一般的に、豚1頭を生産するのに約330キロのエサが必要とされていますが、竹から作ったエサを混ぜて与えると、約280キロのエサで同じ大きさに成長したというのです。
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その理由について農家は、竹の繊維によって豚の腸の調子がよくなり吸収力が上がったことで、少ないエサでも肉付きがよくなったのではないかと見ています。その結果、年間4000万円以上のコスト削減につながっているといいます。
放置竹林を畜産に生かすビジネスモデルとは
この竹のエサを作っている会社の田中浩一郎社長はもともと、木材加工の工場を営んでいましたが、7年前に竹のエサを作る事業に進出しました。
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田中さんの事業の特徴は、放置竹林の無料伐採を行って原材料を調達していることです。竹林は伐採に多額の費用がかかるため、各地で放置されている現状があります。田中さんは無料で伐採することで、竹を安定的に仕入れようとしています。
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伐採の依頼は2年先まで埋まっています。2022年に田中さんに依頼して自宅の裏山に広がった600坪の竹林を伐採してもらったという三角光洋さんは「(無料で)本当にしていただけるのかと思った」と話しました。
竹のエサを作る会社 田中浩一郎社長
「(竹は)伐採しすぎるとなくなるんじゃないか、という話にはなりづらい資源だと思う。竹林の所有者の方から無償で切ることで『ありがとう』と言っていただいている。この仕事をするうえでの喜びにつながっている」
竹は農業の分野でも注目されていて、竹から作った飼料がピーマンやイチゴ、マンゴーなどの肥料としてすでに利用されているということです。
(宮崎局 坂西俊太)
【2023年6月20日放送】
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