XR技術とは?新たなビジネス分野に活用広がる

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XR(クロスリアリティー)は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などの技術の総称。いま不動産業者向けのサービスや車の開発現場など、新たなビジネス分野で活用が進んでいます。市場拡大が期待され、可能性が広がっています。

空き部屋にCGで家具を配置 内見で活用

東京都内のCGの制作会社「キャドセンター」は、不動産業者向けにXR技術を使ったサービスを始めました。何もない部屋にタブレットをかざすと、家具が配置されているように見えます。

このサービスは、マンションなどを内見しにきた客に生活した時のイメージをふくらませてもらい、購入につなげたいというものです。

CG制作会社 橋本拓 社長
「CGと現実世界を混ぜていく要望は、ずいぶん進んできたという印象。ビジネス利用に関してはかなり拡大していく」

橋本拓 社長

仮想の車でデザイン自在 開発コスト削減も

大手精密機器メーカー「キヤノン」もこの夏、新たなXR技術を開発しました。カメラが取り付けられたゴーグルを目の前にかざすと、何もない場所に実物大の車が現れました。

安藤隆キャスターがゴーグルをかざすと…
実物大の車が出現。照明の反射までリアルに見える。

そのまま手を伸ばしてボディーにタッチすると、白から黒、メタリック、黄色がかった緑や青などと車体の色が変化しました。質感もリアルに再現され、色や大きさなどがよく分かります。

精密機器メーカーよると、この技術は車のデザイン部門で使われているということで、実際に試作車を使わなくても色やデザインを確認することができて、開発費を抑えられるといいます。

なぜリアルに表現できるのか。ポイントはゴーグルに取り付けられたカメラです。

カメラが自分の視界そのものをライブで撮影し、その映像に車のCGを合成します。合成された映像が、瞬時にゴーグルの内側のモニターに映し出される仕組みです。

超高速での映像処理が可能になったことで、視線を動かしても自然に見えるようになりました。

そして、仮想の車と自分との距離も計算しているので、例えば手を伸ばしてトランクを開けることもできます。

さらにエンジンをかけるなど、現実の操作と同じ動きを試すこともできるといいます。

大手精密機器メーカー イメージコミュニケーション事業本部 村木淳也さん
「非常に精度の高いシミュレーションをすることによって、生産性の向上や人手不足の解消、場所の制限を解消していくといったところで活用してほしい」

さらに、試作機を作るのが難しい大型の機器にも活用が進んでいます。このメーカーでは、CT検査に使われる医療機器の開発でも使用しています。

大手精密機器メーカー 総合デザインセンター 髙野 盛司郎 専任主任

「CTのような2メートル近くある製品だと、デザインの確認をすることが非常に困難。この技術を活用することで簡単にデザインの検討が行うことができ、業務が効率化している」

髙野 盛司郎 専任主任

メーカーによると、こうした映像を国内と海外で共有することもできるということで、人が移動する時間やコストの削減にもつながると話していました。
【2022年12月5日放送】
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