経営をゲームで学ぶ SDGsから松下幸之助の理念まで

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企業が社会課題にどう向き合い解決するのか、また社員どうしが協力してどう業績を上げるかを、ゲーム感覚で学ぼうという動きが広がっています。

SDGsに貢献する経営とは ゲームで学ぶ

大阪にある近畿大学東大阪キャンパス。経営学部の学生たちが授業で行っているのは、「SDGs=国連が定める持続可能な開発目標」を意識した経営を学ぶカードゲームです。

参加者にはまず、「発展途上国の子どもの健康問題」や、「温暖化と伝染病」といった、世界が抱える課題を記したカードが与えられます。課題は49種類あります。

参加者はグループごとに金融や商社など企業の社員になりきり、課題の解決に生かせる会社の強みは何かを議論します。手元には15億円の資金があるという設定。さまざまな経営資源が書かれたカードをうまく組み合わせながらSDGsに貢献する新たな事業を立ち上げ、利益を生み出す方法も考えます。最終的な利益の多さで勝ち負けが決まります。

ゲームを繰り返すことで、世界で起きているさまざまな問題を身近にとらえ、SDGsに沿った経営感覚を学べるといいます。

あるグループは医療に関係する2つの課題に挑みました。「医薬品の生産、それだったら研究開発(のカード)が必要」などと話し合っていました。

参加した学生の一人は「新しい知識を吸収するうえで抵抗なく学びができたかなと思う」と話していました。

松下幸之助の経営哲学を吸収するゲーム

神子田、安藤、両キャスターがゲームを体験

一方、主に現役のビジネスパーソンを対象としたゲームも、この夏に発売されました。企業活動のリアルな現場をゲーム上に再現することで、ビジネスの成功に必要な心得を学びます。「おはBiz」の神子田キャスターと安藤キャスターも、ゲームを企画した会社に協力してもらってこのゲームを体験しました。

プレーヤーは同じ会社の各事業部の部長という想定です。それぞれが世界を巡って、営業担当を雇ったり部品を調達したりしながら、製品をつくって販売する“すごろく”のようなゲームです。

「経営の神様」と言われる松下幸之助の経営理念を学ぶゲームでもあります。

世界を舞台に事業を進めていくと次々と問題が起こります。神子田キャスターは仕入れ部門を担当したものの、人材が不足して部品が仕入れられません。

一方、安藤キャスターは製造部門を担当しましたが、やはり人手が足りずモノがつくれない事態になりました。

状況を打開したのが、ゲームに組み込まれた「社内会議」の時間です。製品やお金など、お互いに足りないものを融通しあうことができます。

「社内会議」タイムに、神子田キャスターが安藤キャスターに「お金」を融通

ゲームは“競い合うもの”というイメージですが、このゲームはプレーヤーが同じ会社の社員どうしです。助け合うことで会社全体の利益につなげることを学ぶ仕掛けです。そのことがゲームの随所にちりばめられた松下幸之助の経営哲学にも表れていました。

松下幸之助の経営哲学がちりばめられている

ゲームを企画したPHP研究所 渡邊祐介 執行役員
「お互いのため、みんなのために衆知を集める。人間関係やチーム作りができたあとで(松下幸之助の)ことばもどんどん吸収しやすくなる」

SDGsやカリスマ経営者のことばなど、一見遠い存在に感じるものが、ゲームの形で取り組んでみることで自分事として捉えることができる部分があるのかもしれません。
(大阪局 小川真由)
【2022年10月14日放送】
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