週休3日制はアイルランドで根づくか 給料変わらず働きやすい職場を実現するには

    週4日働いて3日休む働き方「週休3日制」が、ワークライフバランスの実現に向けた選択肢として世界で注目されています。アイルランドでは実証実験も始まっています。

    「週休3日」働きやすい環境をアピール

    アイルランドは法人税が低い水準に抑えられていて、世界の大手企業の進出が相次いでいます。このため激しい人材獲得競争が起きていて、各社は働きやすい環境をアピールする必要に迫られています。

    人材トレーニングなどを行っている企業は2年前、週休3日を導入しました。会議は基本的に30分以内。参加者は本当に必要な人だけに絞っています。社員全員が効率化の意識を高めることで、かえって業績は上がっているといいます。

    人材トレーニング企業 マーガレット・コックスさん
    「売り上げや生産性に加え、従業員の健康も改善している」

    実証実験もスタート

    2022年2月には民間団体の主催で、IT業界など12の企業が参加する週休3日制の本格的な実験も始まりました。

    あるIT企業は75人の従業員のおよそ半数が週休3日に取り組んでいます。部署によって人のやりくりが課題になりますが、試行錯誤をしながら対応しています。

    IT企業 担当者 ケン・トーミーさん
    「市場でも前向きに受け止められ、会社の価値も高まると思った」

    カギは効率化と情報共有

    在宅勤務で働く入社4年目のバーバラ・ホプキンスさんを訪ねました。5日分の仕事を4日で済ませるためにカギになるのはオンラインの会議やシステムの活用

    案件の進捗状況を同僚とこまめにシェアし、自分が休む日にどうしても顧客対応が必要になった時に、確実に引き継げるようにするのが欠かせないといいます。

    給与は変わらず、自分の時間が増えたことで仕事の集中力が高まったと言います。

    ホプキンスさん
    「今より給料がいい会社があるかもしれないが、週休3日(週4日勤務)のほうが勝っている」

    生産性データなど政府も共有

    実証実験では、企業の生産性や従業員の満足度のデータを分析。政府とも共有して政策の見直しに活用する予定です。

    実証実験の分析にあたる大学 オーラ・ケリー准教授
    「アイルランド政府にも週休3日(週4日勤務)がどのように機能するか見てほしい。時短やよりよいワークライフバランスは、国民の求めに対する答えにもなると思う」

    週休3日の実現には、職場のコミュニケーションや情報共有を徹底できるかがカギになります。また医療現場など仕事の内容によっては難しさもあります。日本でもパナソニックが週休3日を選べる制度の準備を進めるなど導入に向けた動きが出ていて、広がる可能性がありそうです。
    (ロンドン支局長 向井麻里)
    【2022年5月25日放送】