わかめの収穫量が全国3位の徳島県に、わかめそのものではなく、加工技術の輸出に力を入れている会社があります。中小企業が技術の輸出で稼ぐビジネスモデルとは?
おいしいわかめを作る技術に海外のニーズが?
徳島・鳴門市の「うずしお食品」は2月、フランスの企業と業務提携を結びました。この会社は創業45年。わかめの養殖から販売までを手がけ、海外にも輸出してきました。
社長の後藤弘樹さんは今回の提携を新たなチャンスと期待しています。
後藤弘樹社長
「国内での消費や販売はいちばん重要だが、そこだけでは未来はないかなと思っている」
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今回契約を結んだフランスの企業「アルゴレスコ」は海藻の加工などを行い、10年ほど前からわかめの養殖も始めました。
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フランスでは海藻を食べる習慣があまりありませんでしたが、2000年代に入り日本食がブームに。商談会ではわかめのキッシュが高い評価を受けるなど、さまざまなわかめ料理が増えてきました。
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しかしフランスの企業が加工するわかめは、軟らかくなりすぎたり塩気が強すぎたりして品質が安定しませんでした。
事情を知った後藤さんは、わかめが持つ本来の食感や風味を引き出す自社の加工技術を輸出できないかと考えたのです。
加工技術を提供・ライセンス料などで稼ぐ
今回の契約では、わかめをゆでる温度や時間、塩の種類まで、うまみを引き出す技術をフランス側に提供します。フランス企業は提供された技術で現地のわかめを加工、販売します。
後藤さんの会社には加工技術のライセンス料が支払われるほか、わかめの売り上げの一部も入る仕組みです。
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後藤社長
「技術開発も進んでいって、活性化につながればいい」
後藤さんたちは、オンラインでフランス側とミーティングを重ねています。今後は年に2回フランスを訪れ、品質の指導を行う予定です。
フランス企業 フィリップ・ルゴルジュ社長
「今回の提携によってわかめの効果的な加工方法を学び、わかめの消費拡大につなげていきたい」
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後藤社長
「海藻のよさを広げていくために何ができるのか。中小企業でもこういうもの(ビジネス)を時間をかけたらやれるという、新たなスタイルとして発信していきたい」
後藤さんは2024年のパリオリンピック・パラリンピックの選手村でわかめが提供されるよう働きかけも行っているそうです。
日本は農林水産物の輸出拡大に力を入れていますが、加工技術で稼ぐというビジネスは参考になるかもしれません。
(仙台局 アナウンサー 宮﨑あずさ)
【2022年4月20日放送】