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私たちは誰もが災害の危険と隣り合わせで生活していると言っても過言ではありません。防災情報の基礎知識や「いざ!避難」という時にとるべき対応を分かりやすく解説しています。

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土砂災害の前兆とは わかりやすく図解

山が多い日本は、台風や集中豪雨、地震などにより土砂災害が発生しやすい環境にあります。実際に土石流や崖崩れなどによる災害は毎年全国で約1,000件も発生しており、最近では1年間の土砂災害発生件数が3,000件を超す年も出現して、悲惨な人的被害を生じさせています。突発的に発生する土砂災害は事前の予測も難しい災害です。そこで前兆現象を把握し、まさかの事態に備えて早めの対策をとるようにしましょう。

過去に放送された防災ニュースの内容をまとめた記事です

目次

    住んでいる地域の危険度を知る

    指定済みの土砂災害警戒区域は全国に約68万か所

    2000年に公布された土砂災害防止法による調査が各地で進み、現在、指定済みの土砂災害警戒区域の総数は全国で約68万か所にのぼっています。しかし、土砂災害防止法が施行された後も、2014年8月の広島豪雨災害や2018年7月の西日本豪雨災害など、多くの人的被害を出す土砂災害が発生しています。今後も線状降水帯の発生など雨の降り方によっては、土砂災害の多発が心配されるところです。

    悲惨な被害をもたらす土砂災害から尊い命を守るためには、まずは自分の住んでいるところが土砂災害の危険があるかどうかを知ることが必要です。お住まいの都道府県のHPで土砂災害警戒区域を調べることから始めてみてはいかがでしょうか。

    *正式名称は「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(2000年 法律第57号)

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    東京都でも起こる土砂災害

    土砂災害は山地部だけで起こるものではありません。東京都(島しょ部除き)でも指定済の土砂災害警戒区域は約13,000か所あり、大雨などで斜面が崩れる被害が起きています。

    自分の住んでいるところが土砂災害の危険区域内かどうかを確認しておきましょう。
    そして、自分の住んでいるところの危険度を知ったうえで、土砂災害警戒情報が発表されたり行政から避難指示が出されたら、安全なところに避難しましょう。

    五感を働かせて異常をキャッチする

    土砂災害から身を守るため、前兆現象を知る

    土砂災害が起こる前には、「雨の降り方がいつもと違う」「ふだんは冠水しない道路が冠水している」など、いつもと異なる状況が起きている場合があります。それら前兆現象は、目、耳、鼻などの五感で感じることができます。いち早く異変を感じとり、早急に避難しましょう。
    ただし、前兆現象はあくまで目安です。過去に発生したいくつかの土砂災害では、前兆現象が報告されていない例もあるので、いつもと同じだから安心というわけではありません。

    ●土砂災害発生の種類と前兆現象

    前兆現象は、土石流、崖崩れ、地滑りなど土砂災害の種類によって変わってきます。また、自分の住む場所や環境(地盤が緩い地域、川が近くに流れている等)によっても異なります。

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    これらの現象を発見したら市町村や地域の責任者に連絡するとともに速やかに避難しましょう。そして、前兆を確認するためであっても、危険なところには「絶対に」行かないでください。

    自分の命は自分で守る

    早めの避難が重要です!

    災害時はとっさの判断ができずに混乱し、正しい行動がとれない場合があります。特に真夜中の大雨での移動は大変困難です。土砂災害の危険区域に自分の家がある場合には、遠くにある指定緊急避難場所だけでなく、危険区域の外にあるできるだけ近くの安全な場所を確保しておくことが重要です。「自分の命は自分で守る」という考えを常に持ち、大雨になる前、例えば「高齢者等避難」が出されたら安全なところに早めに自主避難しましょう。

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    また、たとえ「避難指示」が発令されていなくても、「いつもと違う」「何かおかしい」と思ったら早めに安全なところに身を移すよう心掛けましょう!!

    避難後に何も起こらなくても「避難が無駄になった」と考えてはいけません。「何も起こらずよかった!」と思う心掛けが大切です。
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    【監修】池谷浩 砂防・地すべり技術センター 研究顧問

    2022年6月更新


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