災害に遭う前に ハザードマップで危険を調べる
川の氾濫や浸水、土砂災害、大地震や津波、水害、火山噴火…。大災害が相次ぐ日本で、どう備えればいいのか。命を守るために必要な「いろは」の「い」。それはハザードマップで地域の危険を知ることです。
目次
「ハザードマップ」とは
地域の危険を知るために、参考にできるのが「ハザードマップ」です。主に市区町村などの自治体が作り、災害が想定されている場所を地図で色分けして示しています。
「洪水」「津波」「高潮」など水害については、リスクがあるほとんどの市区町村で公開され、地域の事情に応じて「地震」「火山」などのマップもあります。
例えば、岡山県倉敷市真備町で見ます。2018年7月の西日本豪雨の際、川の堤防の決壊が相次ぎ、町の3割近くが浸水して51人が亡くなるなど大きな被害が出ました。
豪雨の前に、倉敷市が公表していた洪水のハザードマップを見てみます。
町を東西に貫くのが氾濫した小田川。その北側が特に大きな被害が出た地域です。薄紫で示された場所は5メートル以上の浸水が想定されていたことを示しています。拡大すると、自分の家に、どのような危険があるのかわかります。
ハザードマップと国土地理院が今回の被害を推定した地図を見比べてみます。
浸水が想定されていた範囲は実際に浸水した範囲とほぼ一致していました。
災害が起きたあと、「想定外」と言われることがありますが、災害は「想定の範囲内」で起きることが多いのです。
ハザードマップを探してみよう
まずは、検索サイトで、「(自治体名) ハザードマップ」と検索すると、多くの場合、調べることができます。災害の種類によって、ハザードマップが公表されていない自治体もあるため、知りたい情報がない場合は、自治体に直接たずねてみてください。
わがまちハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/(*NHKサイトを離れます)
「わがまちハザードマップ」は見たい市区町村を選択すると、自治体公表のマップが掲載されているホームページが表示されます。種類は、「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」、それに「地震防災・危険度」です。
「地震防災・危険度」では地域の揺れやすさや、液状化などの地盤被害、火災被害の危険がある場所を示したマップもあり、自分の地域の地震リスクを知ることができます。
重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/(*NHKサイトを離れます)
「重ねるハザードマップ」は住所を入力して、見たい場所を表示したあと、災害の種類を選ぶと、危険性がある場所が地図上に色づけされます。種類は、「洪水」と「土砂災害」、「津波」、それに道路の冠水が想定される場所などの「道路防災情報」です。被害が想定される場所をクリックすると想定される浸水の深さなども表示されます。
「あなたの天気・防災」「ニュース・防災アプリ」
NHKの「あなたの天気・防災」「ニュース・防災アプリ」では、お住まいの地域を登録してハザードマップを見ることができます。
浸水 自宅周辺は何色に?
川の氾濫による洪水などに備える場合は、ハザードマップに示された色に注目してください。浸水の深さによって避難の方法が変わります。特に注意が必要なのは「2階でも水没レベル」と「家屋倒壊等氾濫想定区域」です。家にとどまっていては助からない可能性が高く、状況が悪化する前の早めの避難が何より大切です。
いざ避難…でもここに注意!
ハザードマップを確認する際に注意が必要なこともあります。
避難ルートも確認
自宅や避難する場所だけでなく、避難する際に通るルートも確認してください。浸水や土砂災害のリスクがある場合は、そこを避けて避難することが重要です
整備が間に合わず色が塗られていない場所も
マップで色が塗られていない場所でも必ず安全だとは限りません。中小河川の周辺など、ハザードマップの整備が間に合っていないところがあり、過去にも多くの災害が発生しています。堤防や橋より低い地域、崖や斜面の近くなどは災害の危険があると考え、早めの避難を心がけてください。
「避難所」と「避難場所」の違いに注意
ハザードマップには、災害時に避難する場所も示されています。いざというときに避難する場所を確認することが大切ですが、注意が必要なことは「避難所」と「避難場所」の違いです。
✅避難所
「避難所」は避難した人が滞在することを目的とした施設です。多くは学校の体育館などの公共施設が指定されています。
✅避難場所
これに対して「避難場所」は緊急に避難する人の安全を確保するための場所です。体育館などの施設に加えて地域の広い公園などが指定されることもあります。
「避難所」は津波や洪水の際に浸水などの危険がある場合があります。危険が迫っているときには「避難場所」に避難することが原則です。
ただ、主に沿岸に危険がある津波や山沿いで危険がある土砂災害など災害の種類ごとに「避難場所」が違う場合もあり、確認が必要です。
「避難所」と「避難場所」を国が分けたのは東日本大震災の教訓からです。このとき、危険な避難所に避難した多くの人が犠牲になりました。いざ災害が迫ったときにどこに避難すればいいのか、確認しておいてください。
危険を知ることから防災は始まる
地域にどのような危険があるのか、事前に知っているか知らないかでは大きな違いがあります。ハザードマップを事前に確認し、災害時の行動をあらかじめ考えておくことで、事前の備えや、いざというときの適切な行動につなげてください。また、離れて暮らす家族や親戚などがいる場合、ホームページを見られる人が情報を伝えてあげることも大切です。
ネットワーク報道部 記者 藤島新也
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