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【好感度1位SONY編】企業の採用HP 学生の好感度が高かったのはどんなページ?

2020年10月19日

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新型コロナウイルス対策下で就活を行った2021年卒。対面での情報収集に限度があったからこそ、繰り返し企業の採用ホームページを読み込んだ就活生も多かったはず。今年、採用ホームページの好感度ランキングで1位を獲得したソニーに、作り手側は何を伝えたくて、どんな工夫をしているのか、学生リポーターが聞いてきました。
(聞き手:勝島杏奈 西澤沙奈)

取材のきっかけは、こちらでした。

就職情報会社ディスコの採用ホームページ好感度ランキング。(『2021 年卒 採用ホームページに関する調査』調査期間:7月10日-7月15日、有効回答数1115名)

2002年卒から始まった同調査、ソニーはここ3年連続で10位以内。昨年の大規模なホームページのアップデートを受けて、いよいよ1位に躍り出ました。

好感度1位!メッセージで表現した求める人物像

学生
西澤

よろしくお願いします。好感度ランキング1位という事で、まずはおめでとうございます!

ありがとうございます。

清水さん

このランキングを受けてどう思われましたか。

取材に答えてくださったのは、ソニー株式会社エレクトロ二クス人事部門採用部で採用ホームページを担当している山口智史さん(左)と清水舞子さん(右)。

最初はもちろんうれしかったです。でもまだまだ100点満点だと思ってなかったので、もっと頑張ろうと思いました。

山口さん

今のご時世、採用ホームページの役割がすごく増しているタイミングで1位に評価して頂けたことはすごくうれしかったです。

ランキング1位の理由をどのようにお考えですか?

今回、21年卒採用向けに、採用ホームページを色々アップデートしたんですよ。私たちの伝えたいメッセージを大規模に更新したので、それが伝わったのかなと思ってますね。

採用ホームページのトップにある『君とソニーの世界を変える冒険』が象徴的なメッセージで力を入れたところです。

ソニー採用ホームページより

学生
勝島

好感度ランキングに、学生から「求める人物像が明確だった」というコメントが寄せられていますね。

ディスコ「2021 年卒 採用ホームページに関する調査」より

「求める人物像」というページはないんですよ。「書いたっけ?」って一瞬思っちゃったんですけど(苦笑)

この冒頭のキャッチコピーステートメントで「人がやらないことをやろう」…と、求める人物像を表現したつもりだったので、そういう風に感じてくれたのかな。

コメントの3つ目の「ソニーの目指す雰囲気や社風が分かりやすく紹介されていた」というコメントも、冒頭のキャッチコピーの部分でしょうか?

そう思います。アップデートの際「社風が伝わりきってないんじゃないか」という問題意識のもと、社風を全面に伝えるつもりで作ったので、これは狙いどおりです。

アップデートで目指した「ソニーはソニー」

そもそもホームページをアップデートするにあたっての当初の方針や理念は何だったんですか?

伝わりきってないソニーの魅力を伝えることですね。これ、当時のサイト修正の方針資料なんですが、1~4が伝えたいと考えたポイントです。

実際にサイト修正の企画時に使用していた資料の一部。学生に伝えたい会社のイメージコンセプトを4点にまとめた。(ソニー提供)

2にあるクリエイティブエンタテインメント…って何ですか?

会社のあり方があまり伝わっていなくて、何となく“電機メーカーに見られてるんじゃないか”という問題意識から出たワードです。

私たちは自社を「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」と定義しているんですよ。

金融・半導体・音楽・映画など様々な事業もあることを伝えたいですね。

ソニーさんって何業界って言ったらいいか分からないんですけど、どういった立ち位置で作ろうっていう流れは決まってたんですか?

冒頭のコピーの中に、「ここはメーカーでもない。大企業でもない。ソニーだ。」というフレーズがあります。

私が一番実現したかったところはここで、「ソニーはソニーだ」ってことを知ってほしかったっていうのはありました。

「ソニーはソニーだ」というのは?

例えばグーグルさんに興味がある方に「どういう会社に入りたいですか?」って質問したら、「外資系IT企業に入りたいです」とは多分言わないんです。「グーグルに興味があります」って言うんですよね。

学生たち

たしかに!

ポジションが取れていてすごくいいなと思います。同じように、「ソニーだから興味があると思ってほしい」と、最終的にそのままキャッチコピーの中に入れることになりました。

キャッチコピー自体は人事の方々が考えられたんですか?

私たちと制作チームで案を出しながら考えました。

「人がやらないことをやる」というのは昔からソニーが言ってたことで、昔から使われてるソニーの言葉を並べただけなんですけどね。

ソニーの採用ホームページ作成スケジュール。新しいコンテンツを随時加えつつ、半年以上にわたって作りこんでいく。

トップメッセージ以外では、全体方針をどうホームページに反映させていったのか、具体例をお聞きしたいです。

サイト全体のデザインや全体にあしらっていた石ころですね。これは鉄鉱石と冒険のモチーフで、階段とかトンネルもぼんやり入っています

サイトに散りばめられたモチーフ(ソニー採用ホームページより)

アンケートでも「働きたいと思わせるような文言とデザインのホームページだった」というコメントがありましたね。

メインビジュアルは女性から「可愛い」と言ってもらえて社内でもすごく好評でしたし、学生からも前向きな意見を頂いたので、そのような評価に繋がったんだと思います。

内定者から、「ソニーっぽくない感じで逆に良かった」と言われたのは嬉しかったですね。

「ソニーっぽくない」というのはどういった方向で?

ソニーのブランドイメージって黒とかシンプルなイメージがあってですね。それに対して比較的ポップでカラフルな色使いにしたところですかね。

商品のCMもクールでシャープな感じを出しているものが多くて、そういう中でポップな「冒険」みたいなワーディングって結構意外性もあったのかなと思います。

採用ホームページを拝見した時、他の企業に比べて情報量が絞られていて、結構あっさりとした印象がありました。会社の沿革など基本情報の部分がなかった気がします。

学生は採用ホームページだけをみるわけじゃないよなって思ったんです。

ソニーのサイトの会社情報とか商品とか全部見るじゃないですか。採用サイトの中で情報を持つ必要がないところは削ったり、情報整理を地道にやっていました。

確かに、見やすいサイトだなって思いました。

社員紹介が多い理由

「職種別に分かれていて内容が見やすい」というコメントですが、こちらは以前から採用されていた形だったんですか?

今回更新しました。ソニーは元々コース別での採用活動を行っています。

大きく事務・技術があって、2021年卒採用では事務系は5コース、技術系は65コースに分かれていました。

サイトでは大きく10種類ほどに分類し、そことリンクしやすい形に作り替えました。

そんなに分かれているんですか!

日本で新卒採用をしている会社で一番細かいんじゃないかと思うぐらい分かれています。

ソニーに入るだけでなく、もう一歩先。ソニーで何をしたいかまで考えてねっていう、やりたい事に合わせた採用スタイルなんです。

「社員紹介が充実しているところ」というコメントもありますが、私もサイトを拝見して同じように感じました。かなり多くの方が紹介されていますが、理由を教えてください。

たくさん載せている理由は、先ほどのコースがたくさん分かれているから、に紐づきますね。

自分が興味ある職種の人がいないと悲しいじゃないですか。なので、なるべく幅広く様々な人を載せていったら増えていきました。

職種別に多くの社員のインタビューが掲載されたソニーの採用ホームページ

紹介されている社員さんはどういった基準で選ばれているのですか?

自分の仕事の楽しさとかやりがいを語ってもらうので、いきいき活躍している人を選んでます。

確かに実際に楽しそうに働いている方を見ると、就活生としてはワクワクします。

ソニーの何でも挑戦できる自由でフラットな社風を表現しているところもあり、社風って社員の口から自分の経験を交えて語ってもらうのが一番伝わりやすいと思っていて。たくさんインタビューする事でそこも伝えられたらなと思っていますね。

インタビューの中身にもあまり口出ししていないんです。表現したいようにお任せして。

NGワードとかもなかったんですか?

商品名をちゃんと書いてくださいとか、そのくらいですね(笑)

社員には自由に語ってもらったそうです

社員紹介の部分にも社風があらわれているのは意外でした。

就活生に望むこと

この採用ホームページの中で、就活生には一番どこに注目してもらいたいですか?

トップのメッセージももちろんですけど、インタビューですかね。これを伝えたい、というよりは、「考えてほしい」と思います。

考えてほしい…?

ソニーは、どういう会社でどんな仕事があるとか、入社してからどうなるとか、そういうことをきちんと考えてほしいという想いはありますね。

社員紹介などを読んで自分が働いている未来を考える一助になればということですか。

そうですね。ソニーに興味がある人もそうじゃない人も、会社の情報やソニーが発信しているメッセージを受けて、「自分ってどういう風に働きたいんだろう?」とか「こういうキャリアもあるんだな」っていうのを考えるきっかけになればいいなと思います。

ところで、来年の採用活動ってどうなりそうですか?

オンラインを通じた活動が中心になるのは確実ですね。学生さんを危険な目に遭わせたくないですし、社員も守らないといけないので。

私たちも在宅とかになっていて、オフィスに行って対応できることは限られてくるだろうなと思います。

採用人数って減ったりするんですか。

まだ確定してなくて(編集追記:取材時点)…でも採用をやめることはないと思います。

それだけでも安心します。

まさに今コロナの影響で直接会社に行けなかったり社員から話を聞きにくい状況になったりしているので、なおさらウェブサイトの重要性は高まっていると思っています。なのでもっといいものにしていきたいですね。

学生たち

ありがとうございました!

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