Q.日本での変異ウイルスの検査態勢は?

A.
国は変異ウイルス対策として感染者の40%について、変異ウイルスの検査を行うことを目標としています。

変異ウイルスかどうかを調べるには、遺伝情報にこれまでの新型ウイルスとは違う「変異」があるかどうかを調べる必要があり、現在は、主に2つの方法が使われています。

まず、次世代シーケンサーと呼ばれる最新の機器を使ってウイルスの遺伝情報を司るRNAの配列をすべて調べる方法です。

この方法では、ウイルスにどんな変異が起きているのか、詳細に特定することができます。

ただ、検査結果が出るまでに数日かかる上、検査ができるのは、大学などの専門の研究機関以外では、国立感染症研究所や一部の自治体の地方衛生研究所などに限られています。

もう一つは、現在、問題となっている3つのタイプの変異ウイルスに共通するRNAの配列があるかどうかをPCR検査で調べる方法です。

こちらは、従来のPCR検査の設備がそのまま使えるため全国の地方衛生研究所で検査することができ、結果も数時間で出ます。

国はこの方法を使って全国で変異ウイルスの広がりを監視するスクリーニング検査を行う体制整備を進めています。

ただ、この方法では現在のところ、変異ウイルスがイギリスで確認されたタイプ、南アフリカで確認されたタイプ、それにブラジルで広がったタイプのどれに当たるかまでは調べることができません。

このため、PCRで変異ウイルスが見つかった場合でも国立感染症研究所に検体を送るなどして更に詳しくゲノム解析を行っています。

こうしたことからPCR検査の試薬を改良したり、ゲノム解析の方法を工夫したりしてより詳しく、より効率的に変異ウイルスを検出するための手法や技術の開発が進められています。

(2021年4月1日現在)