Q.これまでより感染しやすい?

A.
変異した一部の新型コロナウイルスは感染力が高くなる変異があり、国際的に「懸念される変異株」としてWHO=世界保健機関や各国は監視体制を強化しています。

特に警戒されているのは
▽イギリスで最初に見つかった変異ウイルス
▽南アフリカで最初に見つかった変異ウイルス
▽ブラジルで広がった変異ウイルスです。

いずれも「N501Y」と呼ばれる変異があり、ウイルスが人などに感染する際の足がかりとなる表面の突起部分が感染しやすいように変化していて感染力が高くなっていると考えられています。

イギリスで報告のウイルス

イギリスで最初に見つかった変異ウイルスは、2020年9月20日には感染した人がいたことが分かっていて、イギリスでは従来のウイルスから置き換わっています。

WHOのまとめによりますと、この変異ウイルスの感染力は、43%から90%高くなっているとしています。

WHOは、数理モデルを使った解析では、感染の指標の1つで、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」が、従来のウイルスに比べ、41%高いと推定されるとしています。

また、国立感染症研究所が日本国内での感染力の強さを計算したところ、感染の広がりやすさを示す「実効再生産数」が従来のウイルスより平均で1.32倍、高くなっていたということです。

WHOによりますと、2021年4月13日までに132の国と地域で感染が確認されています。

南アフリカで報告のウイルス

南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスは、2020年8月上旬に発生したとされ、11月中旬に南アフリカで行われた解析では、ほとんどのケースがこの変異ウイルスだったとみられています。

WHOによりますと、この変異ウイルスは従来のものと比べ感染力が50%高いとみられるとしています。

また、数理モデルを使った解析では、従来のウイルスに比べ、「実効再生産数」が36%高いと推定されるとしています。

2021年4月13日までに82の国と地域で感染が確認されています。

このウイルスには「E484K」と呼ばれる体の中で作られる抗体の攻撃から逃れる変異もあるため、再感染するリスクが上がると考えられています。

ブラジルで広がったウイルス

ブラジルで広がった変異ウイルスは、ブラジルから日本に到着した人で2021年1月6日、最初に検出されました。

ブラジルでは、北部のマナウスで2020年12月4日に最初に出現したと見られ、WHOによりますと、2021年3月にはブラジルで検査した検体のうち、この変異ウイルスは73%に上ったとしています。

感染力は従来のものより高いとされ、WHOによりますと、数理モデルを使った解析では、従来のウイルスに比べ、「実効再生産数」が11%高いと推定されるとしています。

2021年4月13日までに52の国と地域で感染が確認されています。

このウイルスも南アフリカで最初に報告された変異ウイルスと同様に、抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があるため、再感染したケースが報告されています。

(2021年4月15日現在)