ブレイキンを誰かの支えや助けになる存在に

半井重幸

ブレイキン

2024年のパリオリンピックで新競技として実施される、ブレイキン。
そこで初めてのメダル獲得を目指しているのが「Shigekix」のダンサーネームで活動する半井重幸だ。

2018年のユースオリンピックで銅メダルを獲得。その2年後には、世界最高峰の国際大会で優勝を果たすなど、20歳にして実績十分な日本男子のエースだ。

DJがかける音楽に合わせて1対1で踊りを繰り出し、技の難度や表現力で勝敗を競う競技、ブレイキン。半井が目指すパリオリンピックの舞台はブレイキンの魅力を広める絶好の機会だと考えている。

「ブレイキンの魅力やエネルギーを、日本はもちろん世界に発信していきたい。金メダル以上にそっちが目的になるかな」

姉の影響で半井がブレイキンを始めたのは7歳の時だった。

「見たことない動きをしているなと。どんどん引き込まれていって、のめり込んだ。好奇心でしかなくて、とにかく技を習得するのが楽しかった」

そこから頭角をあらわし世界トップクラスの選手に成長したが、2021年の秋、試練が訪れる。練習中に左手の薬指を骨折。痛みを抱えるなか、11月の世界最高峰の大会で優勝を逃し、続く世界選手権でも決勝トーナメントに進めなかった。

「自分が求めていた踊りや結果を出すことができなかったので、あんなに悔しいことはないなってくらい、悔しかったですね。『しばらく1人にしてくれ』ってくらい」

しかし、この経験は、半井を精神的に一回り大きくした。

気持ちを切り替えて挑んだ、2022年1月の全日本選手権。スピード感あふれる回転技や、音楽にあわせて動きを止める得意の「フリーズ」。持ち味を存分に発揮して大会2連覇を達成した。

「現状維持では2連覇はできない。やってきたことが間違いないなと、かみしめられるタイミングになった」

そして、金メダル以上に大切にしているというブレイキンの魅力発信について強調した。

「僕の活動が盛り上がりの原動力の一部になっていけばすごくうれしい。ブレイキンをどこかの誰かの、一瞬の支えになったり、助けになったりするような存在にしていきたい」

オリンピックの舞台の先にある夢に向かって、日本男子のエースは技を磨き続ける。

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