修正と手探り続けオリンピックへ

瀬古歩夢

サッカー

サッカーJ1、セレッソ大阪のディフェンダー、瀬古歩夢。2020年シーズン、20歳の若さで堅守を誇るセレッソのセンターバックのレギュラーをつかみ、リーグで最も活躍した若手に贈られる「ベストヤングプレーヤー賞」にも輝いた。異例のシーズンに、強い信念を持って向き合ったことが飛躍の要因になったと振り返る。

「新型コロナウイルスの影響で、(日程的に)非常に厳しいシーズンだったが 個人としては非常に成長角度を上げることができた1年だった」

身長は1m83cm。当たり負けない体を強みに、15歳から世代別の代表に選ばれるようになり、現在、スペインでプレーする久保健英などとともに、数多くの国際大会を経験してきた。そうした経験から国を背負って戦うことへの強い思いが芽生えたと言う。

「世代の代表でやらせてもらっている中で、去年経験した20歳以下のワールドカップなどを経て、代表への思いがどんどん強くなっている。もっと国を背負って戦っているんだという自覚を持ってやらないといけないと感じている」

瀬古の今の目標は、東京オリンピックの日本代表に選ばれること。24歳以下の選手で構成されるチームには、同じポジションに、海外でプレーする冨安健洋や板倉滉など年上の強力なライバルがいる。1年前は、ライバルと比べて、経験が足りないと感じていた。

そうした中で決まったオリンピックの1年延期。瀬古は思わぬ形で与えられた時間をチャンスと受け止めた。
2020年、J1は、新型コロナウイルスの影響で、およそ4か月の中断期間があり、日程を消化するために、多いときには1か月に8試合も試合が組まれた。精神的にも肉体的にも苦しい状況だったが、瀬古は、短期決戦のオリンピックに重ね合わせ、「修正力」を磨く期間と考えてプレーした。

「週2回、3回と試合をやっていく中で、前の試合で感じた課題をすぐ2日後3日後に修正してトライできた。タフなシーズンだったが、それに対応する能力を得たことが自分の中で大きな収穫になった」

こうした試合での経験を積むことで、プレーの質も変わった。これまで本能に頼る部分が大きかったという守備では、相手のプレーの先を読んだ対応ができるようになり、何度もチームのピンチを救った。
さらにディフェンスラインでボールを奪って、一気に味方のシュートにつなげるロングパスを見せるなど、攻撃を組み立てる能力も向上した。12月には、東京オリンピックの代表候補の強化合宿にも呼ばれるなど充実の1年間を過ごした。

「去年よりも代表入りが近づいている。東京オリンピックは絶対目指さないといけない舞台。出場資格がある選手たちはそうとう死に物狂いで出場権を奪いに来ると思うので、その中で自分自身も選ばれるためには何が必要なのか、何が駄目でどこを修正していかないといけないのかを手探りしながらやっていければそう遠くない切符かと思っている」

新型コロナウイルスの感染拡大で突きつけられた厳しい現実も前向きに受け止め、自身の成長につなげようとする20歳。2021年、J1は2月下旬に開幕する。身につけた修正力でさらなる成長を見せ、7月に発表となる東京オリンピック代表メンバー入りをねらう。

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