悔しさの分だけ強くなりたい

北園丈琉

体操

18歳で初めてのオリンピックに挑んだ北園丈琉。幼いころ、特撮のヒーローに憧れて体操をはじめ、小学5年生だった時、オリンピックの東京開催が決まった。
そのころから「必ず東京オリンピックに出て金メダルを取る」が口癖となっていた。
高校1年生の時にユースオリンピックで5冠。新型コロナウイルスによる東京大会の1年延期も追い風に夢だった代表入りが現実味を帯びていた。
2021年4月の代表選考会。北園は鉄棒から落下して右ひじの骨を折るけがをした。それでも諦めなかった。その後の2回の代表選考会を勝ち抜いてオリンピックの切符をつかんだ。

だが東京オリンピックに出場した北園が感じたのは一生忘れることの出来ない「悔しさ」だった。
団体の決勝は北園を含めた4人全員が大きなミスのない演技をそろえたが、結果は銀メダル。金メダルにはおよそ0.1とわずかに届かず、一瞬の喜びのあと心はすぐに「悔しさ」で埋め尽くされた。個人総合では4月のケガの影響でつり輪のみ難度を落とした演技で臨んだが、それ以外の種目は今できることをすべて出し尽くした。
それでも結果は5位。金メダルを獲得した1歳年上の橋本大輝に2点近い差をつけられた。

「今できるベストを出しても、世界とはこれだけの差があるのか」

演技後には得点が映し出されたビジョンを見上げしばらくの間ぼう然と立ち尽くした。今大会最後の出場となった種目別の鉄棒の決勝ではメダル獲得を目指したが2回転落。6位に終わると悔しさから大粒の涙を流した。

「目標はずっと金メダルだった。団体では銀メダルを取れたが金に0.1届かない悔しさを味わった。個人総合でも、種目別でも結果を残せず本当にいろいろな悔しさを経験した」

だが北園は「この経験が間違いなく財産になる」と視線はすでに3年後のパリオリンピックを見つめている。

「悔しさの分だけ強くなってやろうという気持ち。オリンピックはもう憧れの舞台ではない。パリでは金メダルをとるべくしてとるような、そんな日本のエースになりたい」

悔しさを強さの源に。北園はすでにパリへの歩みを始めている。

体操