誰かと友情やつながりを持って自分のベストを出せること。それがスポーツで最も美しいこと

イレーン・ビュスト

スピードスケート

世界記録を持つ高木美帆が金メダルを目指した北京オリンピックのスピードスケート、女子1500メートル。高木の前に立ちはだかったのは、この種目で連覇を目指すオランダの「女王」、イレーン・ビュストだった。

ビュストは15組のうち12組に登場。ライバルの高木の前で驚きのスケーティングを披露した。記録は1分53秒28のオリンピック新記録。最終組の高木の結果を祈るように待った。

「フィニッシュラインを越えたときに、タイムとオリンピックレコードを見て、大切なレースでベストを尽くすことができ、とても幸せだった。私のあとに走る美帆は偉大なスケーターだから、緊張しすぎて彼女のレースを見られなかった」

その差はわずか0秒44だった。
結果は前回大会と同様、ビュストが「金」で高木が「銀」。
勝者と敗者に分かれた2人はレース後、握手をして健闘をたたえ合った。

ビュストが獲得した金メダルの数は、2006年のトリノオリンピック以来、この種目で6個めとなった。
「女王」ビュストは、高木たちライバルがいたからこそ、みずからを高められたと語った。

「美帆と戦うのはいつも楽しい。お互いにいつも大きなリスペクトを持っているが、誰かと友情やつながりを持って、自分のベストを出せること。それがスポーツで最も美しいことだと思う」

今シーズンかぎりで引退するビュスト。みずからのスピードスケート人生を振り返りつつ高木へエールを送った。

「ここまでの旅を楽しんだし、これが最後だとわかっていて、だからこそよりいっそう楽しんでいる。美帆はすばらしい技術を持ったスケーターで、4年後には1500メートルの勝者になると思う。これから彼女がたくさん勝利していくことを願っている」

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