苦手なコースで勝つことができたことはまたひとつ自信にもなる

松山英樹

ゴルフ

ハワイにある「ワイアラエカントリークラブ」。39年前の1983年、青木功が日本選手として初めてアメリカツアーで優勝した記念すべきコースだ。
“世界の青木”が初勝利を挙げた場所で、松山英樹はアメリカツアー通算8勝目を挙げた。

「青木さんが初めて日本選手としてアメリカツアーで勝ったところで僕がまた勝ててすごくうれしい」

最終日、2位からスタートした松山。前半を終えて首位を走るアメリカのラッセル・ヘンリーに差を5打に広げられた。
それでも「チャンスがくると思っていた」と後半の10番、11番で連続バーディー。1打差に迫って迎えた18番のパー5ではテーショットでドライバーを思いっきり振り切りツーオンに成功。バーディーとして土壇場で首位に並んだ。

迎えたプレーオフ、圧巻だったのはその2打目だ。
フェアウェイから3番ウッドでグリーンを狙い、ピンそば80センチにピタリ。勝負どころで見せたスーパーショットで、松山はアメリカツアー8勝目を手にした。

2021年、日本選手として初めて海外メジャー大会のマスターズ・トーナメントを制覇。その後の2勝で到達したツアー通算8勝は、韓国のチェ・キョンジュに並ぶアジア勢のアメリカツアー通算最多勝利記録だ。
次々と歴史を塗り替える松山にパイオニアとしての先輩、青木がエールを送った。

「自分に重ね合わせて大会を見させてもらった。風格が漂うプレーぶりとたたずまいはまさにメジャーチャンピオンにふさわしい堂々としたもので、諦めずに追いかける姿に感動した。ますますの活躍を期待している」

劇的な逆転優勝も、実は松山の状態は決してよくなくなかった。

「トップ10に入れたらいいなと思っていて、ここで勝てるとは思っていなかった。苦手なコースで勝つことができたことはまたひとつ自信にもなるし、1年間やっていたら苦手なコースも絶対あると思うので、そのコースでもいいプレーができるようにしたい」

取材陣に「きょうは死ぬほど飲むぞ」とおどけて見せた日本男子ゴルフのトップランナーは、これからも世界の舞台で道を切り開いていく。

ゴルフ