まもなく歓送迎会や花見のシーズン。お酒を飲む機会が増えるという人も多いのではないでしょうか。
飲料メーカーでは最近、「ストロング系」と呼ばれるアルコール度数が高い飲料の販売を見直す動きがあります。健康的にお酒を楽しむために、ノンアルコール飲料いわゆる“ノンアル”を使ってアルコール摂取量を減らせないかという研究も始まりました。
ノンアル飲料でも満足? “減酒”効果を検証
筑波大学でアルコール依存症などの研究に取り組み、医師でもある吉本尚さん。依存症対策ではこれまで、全く酒を飲まない「断酒」が主流でしたが、酒の量を減らす「減酒」を推奨しています。
注目しているのが、ノンアルコール飲料です。
吉本さんは実験を行い、アルコールだけを飲むグループと、アルコールに加えてノンアルコール飲料を提供して自由に飲んでもらうグループに分け、アルコールを摂取する量を検証しました。
その結果ノンアルコール飲料を提供したグループでは、摂取量が約30%減少しました。さらに、ノンアルコール飲料の提供を終えたあとの調査でも、摂取量が減ったままであることが分かりました。
吉本さんは、酒の量が少なくても満足できることに気づくなど生活習慣に変化があったのではないかと分析しています。
筑波大学 健幸ライフスタイル開発研究センター 吉本尚 センター長
「お酒の量が減っても『これでも自分の生活いけてるんじゃないか』『このままでもいいんじゃないか』ということで、生活習慣が変化した」
飲み会で「チェイサー」の役割も?
ふだんの飲み会でも、ノンアルコール飲料を上手に取り入れれば、アルコール摂取量を減らせるといいます。
吉本さん
「真ん中(飲酒の途中)に(ノンアルを)いれると、アルコールをとるスピードが遅くなるので、(ノンアルが)チェイサーの役」
チェイサーといえば水ですが、ノンアルがその代わりにもなるというのです。
このほか、アプリなどで記録をつけて「見える化」することも効果的だと指摘します。
吉本さん
「『お酒の量を減らしたいな』と自分で試してみたけどあまりうまくいかない方がけっこういる。研究のデータを出して根拠ある方法として背中をちょっと押してもらうことで変化が起きやすい」
ビールメーカーも共同研究
吉本さんと共同で研究した東京・墨田区の大手ビールメーカーでは、結果をもとに健康に配慮してお酒を飲んだり、ふだんお酒を飲まなかったりする人にもノンアルコール飲料を提案していきたいと考えています。
大手ビールメーカー コーポレートコミュニケーション部 進藤諭香さん
「これまでノンアルコール飲料に満足できなかったお客様でも、より本格的な味わいを感じてもらえる商品を開発し、飲酒量コントロールの方法の一つとしてノンアルコール飲料の活用を積極的に提案していきたい」
厚生労働省も2月、健康へのリスクを示した「飲酒ガイドライン」を公表しました。飲みすぎに気をつけ、上手にお酒を楽しみたいものです。
(水戸局 丸山彩季)
【2024年3月12日放送】
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