【画像を選択すると動画をご覧いただけます】
クラフトビールを造る地域ごとの小規模な醸造所の数が2023年、700か所を超えたと見られ、統計を取り始めてから最も多くなりました。大手メーカーも交えた“大競争時代”が到来しています。
地域の個性アピールするクラフトビール
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/01.jpg)
さいたま市中央区で5月開かれた、国内最大級のクラフトビールのイベント。全国から47の醸造所が出店しました。
中には、長野県特産のりんごを使ったクラフトビールや、北海道・網走の流氷をイメージした青いクラフトビールも。地域の活性化にも一役買っています。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/03.jpg)
訪れた客の一人は「いろんな味のビールがあっておいしかった」と話していました。
元歯科医師 ビール造りへ一念発起
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/08.jpg)
埼玉県越谷市にも2024年、クラフトビールの醸造所が誕生しました。
立ち上げた佐野明彦さんはもともと歯科医師として働いていましたが、さまざまな味わいのあるクラフトビールに魅了され、越谷発のビールを造りたいと一念発起しました。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/05.jpg)
醸造所オーナー 佐野明彦さん
「クラフトビールの楽しさを世の中に広めたいというのが、いちばん」
醸造所の設備はごく小規模です。価格は1杯680円からと通常のビールに比べ割高ですが、かんきつ系の香りや独特の苦みにこだわっています。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/06.jpg)
佐野さんは地道なチラシ配りを行って浸透を図り、リピーターが少しずつ増えているといいます。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/09.jpg)
常連客などのすすめで、ふるさと納税の返礼品への応募も検討しています。地域との結びつきを強めることで競争を勝ち抜きたいとしています。
佐野さん
「越谷という街でやっているので、いろいろなお店の人とコラボレーションしたビールを造ったり、一緒に盛り上げて造っていきたい」
大手メーカー レストラン併設の醸造所も
大手メーカーもクラフトビールに力を入れています。キリンビールは5月、東京・代官山にレストランを併設した醸造所をリニューアルしました。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/10.jpg)
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/11.jpg)
ねらいはビールファンの底上げです。ビールになじみがない若者や女性でも、好みに合ったものを選べるクラフトビールなら楽しめるのではないかと、新たな客層の取り込みを図っています。
![](/news/contents/ohabiz/ai-assets/images/c68aaf6c-b233-45c8-b0c6-02f7346c38f9/12.jpg)
大手ビールメーカー クラフトビール推進プロジェクト 牧原達郎 主査
「ある意味、“ビールのイメージを変えていく”というところがいちばん大きい。クラフトビールが持つポテンシャルは非常に大きいと考えている」
専門家「競争で存在感がより高まる」
酒類市場に詳しい専門家で、「SOMPOインスティチュート・プラス」の小池理人主任研究員は、クラフトビール市場は今後も広がっていくと分析しています。
小池理人 主任研究員
「大手・中小問わず独自の品質を高めていってそれぞれ競争していくなかで、クラフトビール自体の存在感をより高めていくことができると考えている。閉塞したビール市場を打ち破るような期待もクラフトビールにかかっている」
「副原料」拡大 趣向凝らした味が可能に
クラフトビールを巡っては、ビール系飲料の税率が変更された際、オレンジの風味やスパイシーな味わいを加えるなど「副原料」の範囲が広がり、より趣向を凝らしたビールの開発が可能となった経緯があります。
最近はノンアルコールビールや糖質ゼロなど、消費者のニーズの多様化でさまざまな飲料が開発されています。大小各メーカーが切磋琢磨するなかで、どこまでおいしいビールを追求できるか、注目されます。
(さいたま局 江田剛章)
【2024年6月7日放送】