【取材の現場から】平和な“空”を求めて
ウクライナ西部の都市リビウのあるカフェの前で気になるポスターを見つけました。
「CLOSE THE SKY NOT YOUR EYES」。
直訳すると「空を閉じろ 目を閉じるな」。
そういえば、同じようなポスターを街中でよく見かけます。しかもウクライナ語ではなく英語で。いったいどういう意味なんだろう。街の人たちに話を聞かせてもらうと…。
「これはウクライナ上空の飛行禁止区域を求めるポスターです」
こう話してくれたのはカフェの店長バレリア・ラクタンスカさん(23歳)です。ポスターはこの店のオーナーが作ったとのこと。詳しく聞くと、国際社会に対して、ウクライナ上空に「飛行禁止区域」を設定してほしいという願いが込められているとのことでした。
そして、このようにも話してくれました。
「各国の事情で実現が難しいことはわかっています。それでもこの現実から目を背けず、力を貸してほしいです。ウクライナみんなの願いです」
つまりこのポスターは、国際社会に向けたメッセージでした。だからメッセージもウクライナ語ではなく、英語にしたそうです。
ウクライナでは連日のように、ロシア軍の空爆やミサイル攻撃で甚大な被害がでています。ここリビウ近郊でもミサイルが撃ち込まれ犠牲者がでています。アメリカ国防総省によると、ロシア軍が発射したミサイルは1200発以上(3月24日時点)。子どもを含む多くの民間人に犠牲者がでています。
そして、深夜早朝関わらず、心臓がぎゅっとなるような、防空警報が鳴り響いています。ウクライナの人たちは毎日のように、空からの恐怖を感じながらの生活を余儀なくされています。
再び、平和な空をー。
ポスターには、国際社会に向けた、ウクライナの人たちの切実なメッセージが込められています。
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カイロ支局
スレイマン・アーデル
カイロ支局で中東やアフリカ諸国の取材を担当。ウクライナ西部のリビウ取材班として、2週間にわたり現場を取材。