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科学
2019.04.02
日本の探査機「はやぶさ2」は小惑星「リュウグウ」に人工的なクレーターを作り、内部を調べる新たなミッションに挑戦するため、4日、リュウグウへの降下を開始します。
順調に行けば今月5日の昼ごろ、上空から金属の塊を発射して小惑星に衝突させる計画で、JAXA=宇宙航空研究開発機構の吉川真ミッションマネージャは「準備を周到にやってきたのでぜひとも成功させたい」と抱負を語りました。
「はやぶさ2」はことし2月、地球から3億4000万キロ離れた小惑星「リュウグウ」への着陸に成功し、計画どおり岩石を採取したとみられます。
そして、次のミッションとして、小惑星に人工的なクレーターをつくり、内部を調べる世界初の計画に挑戦することになり、日本時間の4日午後1時ごろ、小惑星の上空2万メートルから降下を開始します。
「はやぶさ2」はその後、ゆっくりと高度を下げ、順調にいけば今月5日の午前11時ごろ、高度500メートルで金属の塊を発射する「インパクタ」と呼ばれる装置を切り離します。
そして、切り離しの40分後にこの装置を爆発させて金属の塊を秒速2キロの高速で発射し、小惑星表面に衝突させて人工的なクレーターをつくる計画です。
2日の記者会見で、JAXAの吉川ミッションマネージャは「着陸と違ってクレーターの形成は、はやぶさの初号機でも全く考えてもいなかった新しい挑戦になる。プロジェクトメンバーはみな緊張しているが、準備を周到にやってきたので、全員一致してぜひとも成功させたい」と抱負を語りました。
今回のミッションの難しさについてJAXAは「はやぶさ2」が連続してさまざまな動きを求められることだといいます。高度500メートルまで降下してきて、「インパクタ」と呼ばれる衝突装置を切り離す際にはガスを噴射して姿勢を制御するスラスターを使って、降下から上昇に転じます。
これはバネの力で切り離す衝突装置の落下スピードを抑えるためで、機体の速度は秒速14センチと極めてゆっくりとした速度に制御する必要があります。
そのあともスラスターを噴射し、水平に飛行、およそ1キロ移動したら今度は垂直飛行に移り、40分以内に安全な小惑星の裏側に退避します。
その途中に小型カメラの分離も行い、この時の機体の速度も決まっていてスラスターで調整します。
これらの機体の動きは、すべてプログラムに従って自動で行われます。
JAXAの担当者は「加速や減速、姿勢の制御、そして分離など機体のイベントが連続するため1つの動作が予定と異なると、その後に続く機体の運用がすべて影響をうけることになる。はやぶさの初号機を含めこれまでこうした運用は経験しておらず、まさに世界初の挑戦となる」と話しています。
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