科学

はやぶさ2 クレーターつくる実験 来月5日に 星の内部調査へ

はやぶさ2 クレーターつくる実験 来月5日に 星の内部調査へ

2019.03.18

小惑星「リュウグウ」への着陸に成功した探査機「はやぶさ2」についてJAXA=宇宙航空研究開発機構は、次は小惑星の内部を調べるため、上空から金属の塊を撃ち込んでクレーター状の穴をつくる世界初の試みを来月5日に実施する、と発表しました。

はやぶさ2は先月22日、地球からおよそ3億4000万キロ離れた小惑星、リュウグウへの着陸に成功し、JAXAは計画どおり岩石を採取できた可能性が高いとしています。

JAXAは18日、次のミッションの詳細を発表し、小惑星の内部を調べるため、上空から金属の塊を撃ち込みクレーター状の穴をつくる世界初の取り組みを来月5日に実施する、と発表しました。

計画でははやぶさ2は高度500メートル付近で金属の塊を発射する「インパクタ」と呼ばれる装置を分離、「インパクタ」は降下して高度300メートルから200メートルの間で金属の塊を秒速2キロの高速で発射し、小惑星表面にクレーター状の穴をつくります。

はやぶさ2はこの間、「インパクタ」の破片や飛び散る岩石にあたって機体を損傷しないよう、小惑星の裏側に移動します。

JAXAでは、穴をつくったあとカメラなどで内部の様子を観測するほか、可能と判断すれば5月以降、穴の内側や周辺を狙って2度目となる着陸を行い、小惑星内部の岩石の採取を試みる計画です。

JAXAの佐伯孝尚プロジェクトエンジニアは「大量に飛散する装置の破片や岩石のかけらが探査機に当たってしまうと機体がダメになってしまう。先月の着陸とは違った運用となり、次も難しい挑戦になる」と話しています。

小惑星表面に穴を作る手順

日本の探査機「はやぶさ2」は、以下の手順で小惑星「リュウグウ」に向けて金属の塊を発射して、クレーター状の穴を作ります。

「はやぶさ2」は来月4日の昼前に小惑星「リュウグウ」の上空2万メートルから小惑星へ向けて降下を開始します。

人が歩く速さよりも遅い、時速1.4キロほどのゆっくりとしたスピードで降下を続け、高度5000メートル付近でさらにスピードを落とします。

そして、日本時間の来月5日の午前10時56分ごろ、高度500メートル付近で機体の底から「インパクタ」と呼ばれる装置を切り離します。

「インパクタ」は内部の火薬を爆発させることで、重さが2キロある金属の塊を秒速2キロの高速で発射し、小惑星表面に衝突させてクレーター状の穴をつくる装置です。

探査機から離れた「インパクタ」は小惑星に向かって落ちていき、およそ40分あとの午前11時36分ごろ、高度300メートルから200メートルの間で、火薬を爆発させて金属の塊を発射します。

JAXAはねらう場所として、小惑星の赤道の少し北側にある比較的平たんな「S01」と呼ばれる地点を中心に、直径およそ400メートルの範囲内に金属の塊を衝突させ穴をつくりたいとしています。

金属の塊が発射されると、爆発したインパクタの破片や、砕けた小惑星の岩石が周囲に飛び散ります。

これによって機体が損傷してしまうため、「はやぶさ2」は「インパクタ」を切り離したあとエンジンを噴射してすぐに移動し、安全な小惑星の裏側に移動します。

この移動の途中で、「はやぶさ2」は直径8センチほどの円筒形の小型カメラを切り離します。

小型カメラは「インパクタ」の発射と小惑星に衝突した瞬間の様子を、およそ1キロ離れた宇宙空間から撮影する予定です。

映像は「はやぶさ2」を経由して地球に送られ、結果の分析に使われます。

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